こんにちは
認定支援機関 行政書士たいぞう事務所 融資コンサルタントの小堀大藏です。
あなたの事業が成功するよう祈って、このブログを書いています。
今週は、「「成長戦略会議」とデービット・アトキンソン 『日本企業の勝算』を読む
」です。今日は、「その2 生産性が低いのは企業規模が小さいから」です。
アトキンソンさんのこの本では、SINKING国家のうち、スペイン、イタリア、イギリス、そして韓国との比較をしたときに、共通項として上がってくるのは、「産業構造」が、小企業に偏っており、産業の非効率より、生産性が低いのではないかという結論です。 また、国際競争力ランキングでは、スペインやイタリアよりもかなり上位でありながら、生産性が同様な水準なのは、産業構造上の問題ではないかと分析しています。
イギリスは、国際競争力が高い割に生産性ランキングは日本と同様に低迷しています。イギリスでは、アメリカのようになろうといろいろ真似をしてきたが、生産性は上がっていないのです。規制緩和や労働者の流動性を確保してもうまくいっていません。
「日本も労働市場の規制緩和によって日本の生産性が著しく低迷してしまった現実があったことを忘れてはいけません。」と指摘しています。
これらの分析から導かれるのは、「日本が現在抱える多くの問題点の根本的な原因は「小さな企業が多い」ことが原因ではないか」と言うのがアトキンソンさんの説明です。
「財政も、少子化も、女性の活躍も、生産性も、イノベーションも、輸出も、格差も、社会保障も」小さな企業では解決できないのです。
今一番の課題である「少子化」も、「ドイツのような例外もありますが、総じて言えば、中小企業で働く労働者の比率が高い先進国ほど、出生率が低い傾向があります。また、中小企業で働く労働者の比率が高い国ほど人口減少のスピードが早いことも確認できます」と論破されています。
2019年版の『中小企業白書』でも「人口減少が顕著な地域において、中小企業の事業所の割合及び中小企業の事業所に勤務する従業員数の割合が高い傾向が見られる」と記載されていると指摘しています。
確かに、昭和の時代は、結婚も、子供をつくることも、家を持つとも「頑張ればできる」と思える人口が増え、経済が成長する時代でしたが、今の若い方々には、所得が少ない、正社員ではなく職場が不安定、将来の年金が心配、中小だから労働条件が悪い、などと政治不信があって、子供を増やそうとする環境にはないのだと思われます。
国や自治体は、中小企業施策として、いろいろなことを実行していますが、この度の「コロナ関連の給付金」のように、タダでもらえるもの以外は、一般的な経営者にはハードルが高く、同時に、赤字でもなんとか運転資金を回してもらえているうちはやっていける「中小企業保護」があるために、現状を改善する動機づけが弱いのかもしれません。
アトキンソンさんは、「日本の生産性の問題は中小企業問題です」と看破しています。他国との比較を通して、また、経営を理解しない中小企業の社長たちの言動を間近に見ている私としては、ある意味で無視できない意見だと思います。