こんにちは
認定支援機関 行政書士たいぞう事務所 融資コンサルタントの小堀大藏です。
あなたの事業が成功するよう祈って、このブログを書いています。
今週は、「「成長戦略会議」とデービット・アトキンソン 『日本企業の勝算』を読む」の第2週目です。今日は、「その6 経営者の質を上げる」です。
「経営者の質」と言われて胸の張れる経営者を私はあまり知らない。確かに、「経営者の質」を、「プロの経営者」とは何かを定義したものを見たことがないと思います。同時に、中小企業の経営は、「特殊性」「独自性」「個別の歴史」などの言葉で、その分析さえ拒んでいるように思います。
アトキンソンさんも「「中小企業の経営者=経営能力が低い」という指摘は、日本ではなかなか受け入れられにくいと思われます」と指摘しています。しかし、昔から、「企業の器は経営者の器次第」とも言われていることも事実です。すなわち、経営者の能力がなければ、会社はそれなりの成長や拡大しかできないということです。
また、創業者でない限り、多くの経営者は、スタートの段階で一定規模の企業のトップに立つわけで、経営者を支える企業の規模や従業員の数などの上に、その組織や人材を使いこなせる「能力の高い人たちが経営者になり」、その結果、「能力の高い企業ほど規模が大きくかる」と指摘しています。肯ける気がいたします。
反対に、経営者の質が低ければ、従業員の数は相対的に低く、小さな企業では、「生産性を上げる」余力はないと思われます。今日のように、経営者の高齢化が進み、跡取りがいなくて事業承継の問題が大きく取り上げられているのですが、黒字であっても身内でも、従業員でも継いでいく人が現れないのは、プロが評価できる企業でないのかもしれません。
古いですが、「事業会社の粒度分布について」ロバートE.ルーカスジュニア 『ベルジャーナルオブエコノミクス 巻 9、No。2(Autumn、1978)』、pp.508-523(16ページ)(発行者:ランド研究所)」の雑誌の記事を引用して、アメリカの分析をした上で、日本へ当てはめて検討し、4つの大切な指摘ができるとしてます。
- 企業が増えるほど平均的な経営者の質が下がる。
- 小さな企業が増えると経営者の質の平均が下がる
- その上、小さな企業への優遇策を設けると、無能な経営者でも経営できる
- 結果的に、企業規模の小さな生産性の低い企業が生き残ってしまう
- 賃金が低いほど、経営者になるインセンティブが高まる
- 賃金が低いと、企業にいても将来が見込めず、起業のインセンティブが働く
- 逆に、賃金が高ければ、リスクと労力の伴う起業はハードルが高くなります
- 設備投資のいらないサービス業の起業が多く、生産性を低くしています
- 企業規模は経営者の能力を映す鏡
- 経営者の能力にあわせて従業員が集まります。
- 企業規模が一定規模であるほうが優遇されるのであれば、経営者は成長しません
- 規制と優遇で、企業を増やし、小さな企業の経営者を増やしたのが今の政策
- 大学教育の質が経営者のレベルを左右する
- 経営者になるべく教育するシステムが大学教育に無い
- 欧米から比べて、日本の大学教育は厳しい評価、論理的な思考が出来ていない
どうでしょうか?なかなか意味深の指摘のように思えます。これがデービット・アトキンソンさんの日本の中小企業分析の根っこで、経済政策の方向性の基準です。
次は、中小企業経営者の教育です。