こんにちは
認定支援機関 行政書士たいぞう事務所 融資コンサルタントの小堀大藏です。
あなたの事業が成功するよう祈って、このブログを書いています。
今週は、「地域金融機関の使命」今日は、「選択される地域金融機関とは」です。
今週は、金融庁参与である森俊彦氏の最近の本『地域金融の未来-金融機関・経営者・認定支援機関による価値共創 ㈱中央経済社』(2020.11.20)を参考にしながら、今後の地域金融機関との付き合い方を考えています。
今日は、森俊彦氏が、2019.08.19に開催されました中小企業会計学会第7回全国大会で基調講演「顧客本位の地域金融~持続可能なビジネスモデル構築に向けて~」取り上げます。
この中で、森氏は、地域金融機関は、金融行政方針にあるように「担保・保証に依存する融資姿勢を改め」「取引先企業の…(事業性評価)し、融資や本業支援等を通じて、…地方創生に貢献していくことが期待されている」のであるが、従来の融資の構造がそれを妨げていると指摘します。
すなわち、融資構造には、「大きな歪み」があると指摘しています。多くの金融機関は、中小企業に対して長期融資、いわゆる証書貸付をしています。
昨日取り上げたように、本来は「短期の運転資金」の需要なのに、長期貸付の毎月の返済スケジュールで資金繰りが更に苦しくなっているのです。借り換え等の対応をするのではなく、追加で証書貸出しを続けていたら、毎月の返済金額の上乗せになるわけですので、早晩資金繰りに行き詰まります。
また、長期貸付の形になっていると、企業側への関心が薄れ、融資後は訪問や相談に応ずることは少なくなっていくため、森氏は、「長期融資で必ずしも寄り添っていない。経営支援能力も落ちている」と指摘しています
全国の中小企業の経営者が望んでいる「選択される金融機関」とは、以下のような
ものになりそうです。
- 事業性評価、まさに事業の理解をして本業の成長につなげてくれる金融機関か
- 短期融資、特に専用当座貸越で、キャッシュフローの改善に貢献する金融機関か
- 経営者保証ガイドラインを活用し、経営者保証無しで事業承継の実現する金融機関か
- 保証協会付き融資をやめ、自行のプロパー融資でリスクテイクする金融機関か
- 融資をしてくれるパートナー、従来の上から目線でない金融機関か
(森俊彦さんの講演の内容を要約しました)
バブル崩壊があり、リーマンショックがあり、多くの中小企業が右往左往して、銀行への信頼をなくしましたし、金融機関側も金融庁を見ながら、生き残ってきましたが、ここで「コロナショック」に遭遇したのでした。
コロナ融資のおかげで、結果的に、倒産の少ない1年でしたが、地域金融機関は、貸付残高が大きくなったものの、貸倒引当金などで、決して良い決算ではなさそうです。
これから、体力を失った企業が退場していくのかもしれません。そのなかで、金融機関も。企業側も自らを開示して、本来のあるべき関係を築いていこうと決意し、コロナ後の新しい時代に、経営者と金融機関が汗をかいて地域経済の再生を担わなくてはなりません。