こんにちは
認定支援機関 行政書士たいぞう事務所 融資コンサルタントの小堀大藏です。
あなたの事業が成功するよう祈って、このブログを書いています。
甲子園の高校野球は、雨による順延で、まだ終わっていません。このままでは、明日、8月24日開会のパラリンピックとダブって、8月29日まで行われるようです。ちなみにパラリンピックは9月5日までです。お祭りが続いていることに違和感を禁じえません。
今週は、「「中小M&A推進計画」が動き出します」というテーマでお伝えしています。今日は、「「中小M&A」の3つの意義」です。
すなわち、
1.経営資源の散逸の回避: 経営者の高齢化や感染症の影響等による廃業に伴って経営資源が散逸する事態を回避する。
2.生産性向上等の実現: 規模拡大等による生産性向上や、新たな日常に対応するための事業再構築等を実現する。
3.リスクやコストを抑えた創業: 他者の経営資源を引き継いで行う、リスクやコストを抑えた創業(「経営資源引継ぎ型創業」)を促す
具体的にそれぞれ説明します。
最初の意義は、「経営資源の散逸の回避」です。まさに、放っておいたらあっという間に中小零細企業の数が減り始め、毎年のように休眠、廃業の会社の数が増え続け、現在の中小企業、小規模事業者の数は、325万社程度になっています。この内約2割の60万社程度は、「廃業」候補の会社です。(否、これをなんとかしようというのが中小M&A推進計画です)
「後継者不在の中小企業は、仮に黒字経営であったとしても廃業等を選択せざるを得ず、近年、廃業件数は増加傾向」で、「2020 年は感染症の影響もあって過去最多の件数となった。」と説明しています。
また、その「廃業事業者のうち黒字廃業の比率は依然として約 6 割の水準」で、「貴重な経営資源を有する事業者も少なくない」ことから、「M&A によって経営資源の散逸を回避する」としています。
次2つ目の意義は、「生産性向上等の実現」です。これは、菅首相の「成長戦略」の要であり、少々無理やりではありますが、「M&A は、設備投資や研究開発等と並び、中小企業の生産性向上等の重要な手段の一つ」であr,また、「DXを含め、従来の経営スタイルからの発展や、従業員の意識改革等の効果も期待される。」とあたかもバラ色のような位置づけです。
「実際、M&A によって経営資源の集約化を行った中小企業は、そうでない企業に比べて生産性等の向上を実現しているとの調査もある。(下線 小堀)さらに、「年齢が若い経営者ほど、感染症の影響下において、「新たな販路開拓・取引先拡大」や「新商 品・新サービスを開発」などの新しい取組を行う傾向にあるとの調査もあり(下線 小堀)、…M&A により…企業の成長・発展を促していくことも期待される。」とその意義を強調している。
「本当だろうか?」と思ってしまいます。それより、「零細企業を減らしていこう、国際的に競争できる健全な規模の企業を育てよう」としたほうがわかりやすいと思うのですが、いかがでしょううか。
3つ目の意義は、「リスクやコストを抑えた創業」です。政府としては、なんとかして、M&A によって廃業等を回避したいし、廃業する場合、経営資源(従業員)の失業が発生することを極力抑えたいのです。
「一方、我が国の開業率は、各国により統計の性質が異なるため単純な比較はできないものの(下線 小堀)、国際的に相当程度低水準である。」と断った上で、「感染症の影響により、創業計画の見直しや延期を余儀なくされた創業準備者も少なくないと考えられる。」ので、ますます、雇用環境が悪化することを心配しているようです。
そこで、M&Aを「他者が保有している経営資源を引き継いで行う創業」を促すことを進めようということです。「創業希望者にとっても創業時におけるリスクやコストを抑える上で有用なケースも少なくない」とその意義を強調しています。古い資料を根拠に「実際、経営資源引継ぎ型 創業を希望する者は少なくない。」と結論づけています。説得力のない報告書です。
このような形の施策検討ではあるものの、従来の規模の大きな中小・中堅企業のM&Aから、中小・零細企業へM&Aのトレンドが移り始めます。すでに、M&Aのお見合いのサイトが活況を呈しているようですが、双方の当事者が安心して取引ができる環境ができているとは言えません。後押しをする施策が増えたことは歓迎するべきかもしれません。