こんにちは
認定支援機関 行政書士たいぞう事務所 融資コンサルタントの小堀大藏です。
あなたの事業が成功するよう祈って、このブログを書いています。
今週は、(令和4年度税制改正大綱を読む」と題して解説いたします。
まず、税制改正の「おさらい」をしておきましょう。政府には「政府税制調査会(政府税調)」があって、「税制のあり方」につて審議し、「税制改正の基本となる考え方」が示されています。
次に毎年の税制改正ですが、8月末に財務省に各省の「税制改正要望」が集められ、9~10月に取りまとめが行われています。現在の税制の問題点や改正の必要性が整理されています。要望事項の様式での内容は、申請書ですのでわかりにくいですが、各省庁が独自に作成している「概要書」がわかりやすいです。
これを受ける形で、与党の税制改正大綱がまとめられ、「最終的な改正案」として、大綱が発表されています。今年は、12月10日に発表されました。その後、閣議決定がされて、1月には財務省の「法案」が通常国会で審議され、4月1日に施行されます。その後、夏には、財務省や国税庁から通知が発出され、HPに改正内容の資料等が掲示されます。
今日は、「税制改正の基本的考え方の全体像と取り残した検討事項」です。
来年度の税制改正の基本は、「成長と分配の好循環」「コロナ後の新しい社会の開拓」をするために、国として、企業のあり方を変えたいとの強い姿勢がうかがえます。
最初に、「積極的な賃上げを促すための措置」が取り上げられ、同時に、収益が拡大しているにも関かわらず、賃上げも、投資も消極的な企業には、ペナルティを課すとしています。
また、スターアップ企業に対する支援を既存の大企業にも求め促進税制を拡充するとしています、経済界に対して、より積極的な役割を求めています。
世界と比較すると成長していない産業構造と、新たなビジネスと創出できていない現状を変え、付加価値の上がる次魚を行い、結果的に「賃金上昇」の停滞を解消しようと思っているようです。
また、「デジタル田園都市国家構想」を実現するために、地方でのネットワーク整備や5Gお導入を図るなど、都市と地方との格差を解消することで、東京の一極集中から、地方都市にも将来、人口減少の中で過疎化や高齢化の中で活躍してほしいとの意向です。
ただ、「経済あっての財政」との考え方ですし、「経済成長を阻害しない安定的な税制基盤」を主張されていますので、従来の方針を岸田総理になって大きく変換できているとは到底思うことはできません。
さらに、今後へ結論先送りした「検討事項」が多く、以下のとおりです。これでは、意図した変化が生まれるとは思えません。
- 年金課税の控除の見直し、課税のあり方
- デリバティブ取引にかかる金融所得税課税の実施
- 小規模企業等にかかる税制のあり方
- カーボンニュートラル実現に向けたポリシーミックス
- 自動車関係諸税の課税のあり方
- 原料用石油製品にかかる免税・還付措置の本則化
- 帳簿等の税務関係書類の電子化
- 医療法人に対する軽減税制のあり方
- 電気供給業者及びガス供給業者の外形標準課税
これでは、「旗振れど踊らず」です。年金改革、金融税制改革、小規模事業者への福祉的優遇は見送られ、世界が期待している日本のカーボンニュートラルでの成果は程遠いのかもしれません。変化には「痛み」は必然です。選挙のことを考えるとできない日和見の政治家が検討する「税制体制改正大綱」では、これが限界なのでしょうか。