こんにちは
認定支援機関 行政書士たいぞう事務所 融資コンサルタントの小堀大藏です。
あなたの事業が成功するよう祈って、このブログを書いています。
先月最後は、スタグフレーションの危険性が高まっていることをお伝えしました。今週は、3月になってからの国内経済に、影響が出始めていることを確認します。今日は、「「同友会景況調査報告(DOR)(2022年1~3月期)」を読む」です。
この調査報告の副題は、「仕入価格高騰、価格転嫁が喫緊の課題、 ウクライナ危機はビジネスに異変を起す」です。
調査は、2022年3月1~15日の期間に中小企業家同友会会員を対象に郵送により行われています。2,203 社より 871 社の回答(回答率 39.54%)で、業種別では、建設 155 社、製造業 276 社、流通・商業 252 社、サービス業 179 社です。
さて、その概要では、「前回好転した主要指標はすべてマイナス側へ悪化」し、「調達価格上昇の「影響がある」と回答した会員は、8 割以上に達した」と総括しています。
「業況判断 DIは、8 →△ 7、足元の景況を示す業況水準 DIは、4 →△ 12、売上高 DIは、 10 →△ 1、経常利益 DIは、△ 1 →△ 11 となっています。」と悪化の程度を示しています。
次期の主要な景況指標の見通しは、業種別指標でも、好転を予測しているのですが、 グローバル化した企業取引が、今後どのような異変が起こるのかが読み切れていないものと推察されます。当座の「経営の中心課題は、どのように価格転嫁を果たすかにかかっています。」とまとめています。
また、【DOR の眼】の欄で、立教大学 飯島寛之氏は、「物価高と金利上昇をどう考えるか」と題して寄稿しているが、「コロナ禍による最悪期をようやく抜け出そうとした矢先、…原材料の高騰…今回の DOR でもその深刻さが明らか」としたうえで、「他方で、水面下で資金調達環境の容易さが徐々に失われつつ」あると指摘しています。
「日本銀行が長期金利の上昇を抑え込んでいるからであるが、 世界を見渡せば、先進国・新興国問わず金利の上昇局面に移っている。」とし、「グローバルなサプライチェーンの形成は、貿易量の拡大のみならず、低インフレ、低金利をもたらした。」としています。
しかし、「米中の貿易摩擦」、「「反移民」運動」、「コロナ禍の世界的大流行」さらに、「極め付きはロシアのウクライナ侵攻」とし、「グローバルなサプライチェーンの機能不全」によって、「グローバル化の停滞がさらに続くとなれば、物価上昇と金利上昇は長期にわたるトレンドになりうる。」と警鐘を鳴らしています。
当然に、「日本だけが超金融緩和を継続していくことは難しくなっていく」としたうえ、世で言われている黒田総裁の任期である1年後では、「いわゆる「ゼロ・ゼロ融資」の返済が本格化している時期でもある」とタイミングの悪さを指摘しています。
「一連の事態を個別の事態ではなく、グローバル化の停滞がもたらす地殻変動」と考えて、経営の舵をどのように切っていくのか、「今ほど他者から情報を収集し、共に学ぶことが大切な時期はない。」とまとめています。
さて、日本の今の状況で、金融引き締めに転じた場合、急激な消費の縮小に入っていくのではないかと心配します。すでに民間設備投資もマイナスに転じていることを考えると、ガソリンのトリガー条項だけでなく、一気に消費に弾みをつけられる可能性のある施策を打つべきなのかもしれません。このゴールデンウィークでの消費者の「爆買い」は、何かのサインなのかもしれません。