こんにちは
認定支援機関 行政書士たいぞう事務所 融資コンサルタントの小堀大藏です。
あなたの事業が成功するよう祈って、このブログを書いています。
今週は、金融庁がプログレスレポートの形で6月30日に公表された地域金融機関に対する「注文」を確認して、今後の地域における金融機関の在り方についての方向性が変化する様相であることをお伝えします。
今日は、このレポートの表題でもある「金融仲介機能の拡がり その3 新たな金融仲介機能のフレームワーク」です。
このレポートでは、2021年度の金融事務の取組をまとめたもので、明らかに昨年のプログレスレポートから一歩踏み出したものです。
「客観的な自己評価による取組み高度化の後押し」という項目において、 2016 年9月に金融庁は、「金融仲介機能のベンチ マーク」を策定・公表しているが、この「金融庁の在り方を見直す観点から」、「金融機関との議論を重ねてきた」としています。
そのうえで、「当局との金融仲介業務に係る対話では、…全体を俯瞰し、経営の目標や施策の背景・趣旨等を互いに共有したうえで、どのような金融仲介機能が発揮できているのかを対話することが有効ではないかとの金融機関の声を踏まえ、…、共有するイメージ・考え方を示したフレームワークを試作した(図表 43、巻末資料3)」としています。
何か、画期的なフレームワークが発表されたのかと思ってチェックすると、一つ一つの項目は、2016年の「ベンチマーク55」の内容とほとんど同じで、、一覧になっていたベンチマークの55項目が、わかりやすくフレームの中にあてはめられている(俯瞰できるようにした?)だけのようにも見えます。
「このフレームワークは金融機関との対話等を通じて柔軟にブラッシュアップ されるものであること、…このフレームワークで網羅しきれるものではないことに留意する必要がある」としたうえで、「なお」と断った後に、「「金融仲介機能のベンチマーク」の 55 の指標は、各金融機関が客観的な自己点検等を行うにあたり、必要な項目選定の参考に供するものであることから、計数についての定期的な当局への報告は、2022 年3月末分以降、求めない(下線 小堀)こととした。」すなわち、自己点検項目で、金融庁への報告項目ではないと宣言しているのです。
大枠では、「金融仲介機能の発揮を通じた“共通価値の創造”」をするために、「①地域経済の発展 地域企業の生産性向上」を担い、企業としては、「②リスク・コスト・リターンのンバランス」の取れた地域金融機関であることを求めています。
また、地域と顧客との関係については、①地域経済への貢献、②地域企業とのリレーション、③顧客の評価をどのように行ったかを具体的な数値を出すように求めています。
そのアプローチに「外部専門家の活用、外部人材の受け入れ、再生支援協議会の活用、補助金等の支援、日本公庫等の政府系金融機関との連携」などを挙げています。
地域金融機関としてやるべきことも、顧客のライフステージごとにどのような取り組みをすべきか、その件数や割合を出すよう求めています。また、それを推進する「ガバナンス」についても上は取締役会から、下は業績評価・個人評価、人材育成などにも触れています。
しかし、ベンチマークの報告は求めていないが、対話の共通認識を得るために新しいフレームワークの提出を求めるのであれば、金融庁と地域金融機関の中で、ベンチマークはこんなような内容を確認していたという後付けの図案なのかもしれません。
これを各地域金融機関が作成して、金融庁との対話に臨むのだとするならば、作業はほとんど変わらいと思います。一番重要なのは、地域金融機関が生き残るために、どのように対応し、地域と地元のお客様とさらには、金融庁にその存在を理解してもらえるか、なのかもしれません。
問題は、金融庁も地域金融機関もどっちを向いているのかということです。
コロナ禍の後始末が迫っています。大量の不良債権を国が抱えることにならないよう、地域金融機関の現業を厚くするとともに、その伴走の手当てを受けられない小規模事業者をどのように位置づけ、そして地域の中で扱っていくのか。事業承継やM&Aも含めて、積極的に関与して「街を元気にする」ことが求められます。
すでに、地域金融機関の中では、顧客と呼べる地域の中核企業の選別が始まっているのでしょうが、地域社会が歯抜けのような状態にならないよう、自治体の街づくりの計画と地域金融機関がコラボすることを望みます。
地域金融機関がその役割を自己主張して、メガバンクでも信用金庫、信用組合とも違う立ち位置で、地方ごとの経済の代表の一人として活き活き活躍されることを望んでいます。