こんにちは
認定支援機関 行政書士たいぞう事務所 融資コンサルタントの小堀大藏です。
あなたの事業が成功するよう祈って、このブログを書いています。
今週は、オミクロン株の話から、今後問題となるだろう「ゾンビ企業」を取り上げています。
かつて、バブル崩壊の時にも「ゾンビ企業」が言われ、さらに、リーマンショックの後の中小企業金融円滑化法によって、債務弁済が猶予され、多くのゾンビ企業が生まれたとされています。コロナが終わりかける今年の春から再び「ゾンビ企業」という言葉が動き出しています。
今日は、4月の段階で、RIETI(独立行政法人 経済産業研究所)が、コロナ禍によって倒産は起こらず、「ゾンビ企業」も減り続けているのではないかという東京商工リサーチの問題提起に対して、今一度、コロナ禍の中で企業側はゼロゼロ融資を受け、市場からの退席はないが、本当に「コロナ禍で、日本のゾンビ企業は【減ったのか?】増えたのか」と、その分析を披露しています。
「企業の退出が少ないことから、日本企業はコロナ禍を乗り切ったように見える。しかし、企業の退出率を見ると、…コロナ禍がなければ健全な企業であったはずの支払能力に問題のある企業(「ゾンビ企業」)の数が急増している」と最初にその分析結果を提示しています。
「COVID-19のパンデミックショックが世界中に浸透しはじめて2年が経った。…政府のタイムリーで強力な支援により、企業の退出率は著しく低く、…政府の支援が債務超過企業の存続を可能にしているのか、また、それまで健全であった企業がコロナショック後に脆弱化したのか、日本企業のゾンビ化を懸念させるものである。」との評価で、その増加を指摘しています。
確かに、みずほ証券の「ファイナンス用語集」によれば、「ゾンビ企業とは、健全な経営状況ではないため市場を退出すべきにもかかわらず、銀行などから資金的な援助を受けることで市場に存続している企業のことである。」と定義されています。
また、補足の説明では、「1990年代から2000年代初期にかけて不況…この不況を長引かせる一端を担ったのが、本来であれば市場から退出すべき企業に資金的な援助を行った銀行である可能性を示した。銀行が資金的な援助を行うことで企業が市場に残ったために市場の新陳代謝が阻害され、不況が長引いたと考えられている。」とも説明しています。
「まず、コロナショック前後の企業特性と企業退出の相関を検証する」として「企業の退出のタイプ(自発的退出と倒産)」「企業の負債構造の変化…返済能力を超えて企業債務を積み上げた企業を特定する。」作業をしています。
「重要なのは、パンデミックの期間中に財務力に弱い企業の退出率が低下したこと」で、「生産性の低い企業が退出して生産性の高い企業の参入を可能にする」…「メカニズムが弱まったことを示唆している。」と分析しています。
「同時に、倒産率は財務状況にかかわらず、すべての企業で低下している。」「企業の負債構造の変化に目を向けると、企業は短期借入とは対照的に長期借入を増加させていることがわかる。…ゾンビ企業の割合は、製造業だけでなく、宿泊業、個人向けサービス業、運輸業でも大幅に増加した。」と分析しています。
すなわち、「健全性の低い企業においても企業の退出率が低下し、「浄化メカニズム」が弱まっている」「第二に、特定の部門における「ゾンビ」企業の割合が、過去2年間に急増したことである」としています。
「これまでの研究が示すように、経営難に陥った企業の延命は、労働と資本の再配分や経済全体の生産性を損ない、コロナ後の迅速で力強い経済回復に水を差すことになる。」と日本経済の構造的な問題点を指摘しています。
個人的な意見だが、金融庁が検査マニュアルを廃止し、金融円滑化法から脱却を試み、地方社会に根付いた地方銀行を整理しながら、次の時代につなごうとしていた矢先のコロナ禍でした。このコロナ融資で、行政も金融機関も積み上げてきた方向性を失い、再び積み上げなおす必要があります。
金融円滑化法が長く続いた結果とコロナ禍のゼロゼロ融資で、金融機関の企業理念や企業倫理、あるいは教育などの根本のところが揺らいでいます。優秀な人材の集まる重要な業界であるからこそ、地域経済の旗手の一人であることを忘れないでほしいものです。