こんにちは
認定支援機関 行政書士たいぞう事務所 融資コンサルタントの小堀大藏です。
あなたの事業が成功するよう祈って、このブログを書いています。
今週は、オミクロン株の話から、今後問題となるだろう「ゾンビ企業」を取り上げています。
今日は、2022.07.27にプレスリリースされた帝国データバンクの報告「コロナ禍以降「ゾンビ企業」16.5万社に、全企業の1割強が該当 コロナ関連融資で今後、増加の可能性も」です。副題は「利払いの負担を事業利益で賄えない「ゾンビ企業」の現状分析」としています。
その「調査結果の要旨」では、以下ようにまとめられています。
- 国際決済銀行(BIS)の基準における「ゾンビ企業」率は2020年度で約11.3%、「ゾンビ企業」数は約16.5万社と推計
- 2020年度の「ゾンビ企業」を業種別にみると、『建設』(構成比34.3%)、『製造』(同20.0%)で半数超となった。また従業員別では、20人以下の企業が全体の約7割を占めた
- アンケートに回答した「ゾンビ企業」のうち、コロナ関連融資を「借りた・借りている」企業は約8割となった。さらに、返済を不安視する企業は15.5%に達した。コロナ禍による金融支援によって、「ゾンビ企業」が延命している可能性がある
ここでは、昨日まで問題にしてきたコロナ禍による影響を受けてきた祝k伯・飲食業等の対人、生活衛生関係業種ではなく、「建設業」が「ゾンビ企業」の筆頭として地理上げられています。
「直近10年の推移をみると、「ゾンビ企業」は2011年度には約27.3万社に達したが、20年度にはそこから4割近く減少している。ただし、19年度の約14.6万社からは1割以上増えており、再び「ゾンビ企業」の増加が危惧される。」
「2020年度に「3年連続でICRが1未満、かつ設立10年以上」の企業1万2,037社について業種別にみると、『建設』が構成比34.3%で最も多く、次いで『製造』(同20.0%)、『卸売』(同18.9%)、『サービス』(同10.4%)が続いた(図表3)。」と説明しています。
『建設』の内訳は、「職別工事」が13.9%、「総合工事」が12.6%、「設備工事」が7.8%で、従業員数別にみると、「20人以下の企業で約7割を占める」(図表4)。としています。
確かに、コロナ倒産の現況を確認すると、東京商工リサーチの「データを読む 2022.07.29」では、「コロナ破たん 7月は過去3番目の高水準、感染拡大のなかコロナ破たんも高止まり続く」としています。
負債1000万円以上の倒産の「業種別では、飲食業が最多で602件…次いで、建設業が420件、…アパレル関連(製造、販売)の282件。…飲食料品卸売業が168件…ホテル,旅館の宿泊業が141件」と、報告されています。苦境の2番目は建設業だったのです。
今後、「新型コロナウイルス感染症対策、円安にともなう原油・原材料高騰、ウクライナ情勢などの影響は、引き続き幅広い業種に及んでいくだろう。それを軽減するための金融支援策が実施されることで、当面は「ゾンビ企業」の延命が続くことが予想される。」と予想しています。
「しかし将来的には、コロナ関連融資などの借入金返済負担とともに、金融機関の支援を受けられなくなることや、後継者の不在などから行き詰まる企業が徐々に表面化する可能性もあろう。」とその将来に大きな課題があることも指摘しています。
帝国データバンクのプレスリリースの通り、すでに、政府は舵を切っているわけですので、早晩、一定の業種や規模の小さな企業、あるいは事業承継のままならない企業の淘汰が始まります。ある意味で、自浄作用なのかもしれません。
市場では人材不足も続いています。多くの場合、新しい事業分野で、デジタルに呼応した人材が圧倒的に足らないようです。このような中、まず、セイフティーネットで働く人を支えたうえで、失業した人材だけでなく、産業界全体で再教育をして人材移動によって、生産性と賃金上昇を生み出し、政策的に「成長軌道」に乗せていくことが求められています。
これ以上の「ゾンビ企業」救済はないとしなくてはなりません。政府・自民党もしばらく国政選挙はありませんので、選挙に左右されることのないしっかりとした政策を実行しなくてはならないことを自覚してほしいものです。