こんにちは
認定支援機関 行政書士たいぞう事務所 融資コンサルタントの小堀大藏です。
あなたの事業が成功するよう祈って、このブログを書いています。
今週は、ここにきて、識者が「景気後退」、「リセッション」などという言葉で、現状や将来を語り始めています。いくつかのレポートを取り上げて紹介いたします。今週のテーマは、「コロナ、ウクライナ戦争、エネルギー不足、物価高、そして景気後退?」としました。
今日は、野村総研の木内登英先生の「日本経済に3つの逆風。来年にかけ世界経済同時不況も(4-6月期GDP見通し)NRI 2022.08.09」を紹介します。
内閣府は8月15日(月)、2022年4-6月期GDP統計・一次速報を公表しました。毎日新聞によると「物価変動を除いた実質で前期比0・5%増、この状態が1年続いた場合の年率換算は2・2%増だった。実質GDPは年換算で、542・1兆円で、新型コロナウイルス禍前(19年10~12月期)の水準を上回った。」と報道しています。
木内氏は、この発表に先立って、「4-6月期の実質GDPを2四半期ぶりのプラス成長に押し上げる最大の原動力となるのは、感染収束を受けた個人消費の持ち直しである。1-3月期は感染拡大と蔓延防止等重点措置の発動により、個人消費は4兆円減少したと推計される。4-6月期にはその反動増が生じた。」と指摘しています。
「しかし、こうした個人消費の反動増にもかかわらず、4-6月期の成長率はそれほど高い水準になるとは見込まれない。5月時点のESPフォーキャスト調査では同期の実質GDPは前期比年率+5%台が予想されていたが、その後大幅に下方修正された…中国への輸出減少とサプライチェーンの混乱を通じた生産活動の混乱を通じて、日本経済にも一時的に大きな打撃となった」と分析しています。
今後については、「感染再拡大など3つの逆風で年後半も経済の低迷は続く」としています。すなわち、「第1は感染再拡大、第2は物価高、第3は海外景気情勢の悪化」を指摘しています。
「大企業の夏のボーナスアップ」は、次の四半期の好材料ですが、「エッセンシャルワーカー不足」や「訪日外国人は限定的」とのことですので、景気の持ち直しは難しいとの見解も示しています。
したがって、「海外市況の上昇や円安進行の影響から消費者物価が前年比で+2%を超える上昇を続けていることは、個人消費の逆風である。こうした高い物価上昇率が長期化し、それに賃金上昇率が追い付かない状況が長く続くとの見方が強まれば、消費者は消費防衛的な傾向を強め、個人消費は一気に腰折れしてしまう可能性がある。」と厳しい見方をしています。
また、木内氏は、「日本銀行は中長期的な物価の安定について、強いコミットメントを打ち出すべきだ。また、金融政策の柔軟性を高める政策調整を通じて、日本銀行の金融緩和姿勢が変わらないことで、物価高を助長する悪い円安が長く続いてしまうとの個人の懸念を緩和に注力すべきだ。」とも指摘しています。
すなわち、「世界経済は、新型コロナウイルス問題の影響が続く中でウクライナ問題が生じ、まさに危機に危機が重なる状況にある。米国にとっては歴史的な物価高を受けた急速な金融引き締めが、経済の大きな逆風となりつつある。欧州はロシア産エネルギーの輸入規制・禁止措置に伴うエネルギー不足が経済活動を大きく妨げている」
さらに、「中国は、不動産不況が続く中、感染再拡大への対応としてのゼロコロナ政策が経済活動を強く制約し、さらにサプライチェーンの支障が他国の経済にも打撃を与えている」中国は今年4-6月期にゼロコロナ政策の下で一時的に景気後退の状態に陥った。」として、「今年10-12月期に景気後退に陥る可能性がある。米国は急速な金融引き締めの影響で来年前半に景気後退に陥る可能性がある。その場合、日本も来年前半に景気後退に陥る可能性が出てくるだろう。」と景気の後退の指摘をしています。
「このように、各国・地域で景気後退入りのタイミングにずれはあるものの、来年には揃って景気後退に陥る、世界同時不況となる可能性が相応に高まっているのではないか。そうなれば、日本経済だけが成長を続けることはほぼ考えられない。」という結論です。