こんにちは
認定支援機関 行政書士たいぞう事務所 融資コンサルタントの小堀大藏です。
あなたの事業が成功するよう祈って、このブログを書いています。
今週は、ここにきて、識者が「景気後退」、「リセッション」などという言葉で、現状や将来を語り始めています。いくつかのレポートを取り上げて紹介いたします。今週のテーマは、「コロナ、ウクライナ戦争、エネルギー不足、物価高、そして景気後退?」としました。
今日は、丸紅米国会社ワシントン事務所 阿部氏の「リセッションのシナリオ ~気味の悪いハリケーンとは?~ 丸紅ワシントン報告 2022.07.05」を紹介します。少し古いレポートですが、このころから、このような話がくすぶっていたことに気が付きました。
「米国経済のリセッション(景気後退)懸念が俄かに噴出している。」として、何人かの署名な経営者の動向を伝えています。
「JP モルガン・チェースのダイモン CEO(最高経営責任者)が 6 月 1 日に「ハリケーンはすぐそこにあって、我々の方に向かってやってくる(中略)備えた方がいい」と警戒」
あるいは、「テスラ社のマスク CEO は経営幹部に対し、「経済状況は非常に気味が悪い( super bad feeling about the economy)」として、世界中でライン作業員などを除き採用を停止し、10%の人員削減を示唆したと伝えられている。」
「ウェルズファーゴのショーフ CEO は 5 月中旬時点で、米経済が下り坂に向かっているのは「間違いない。何らかのリセッションを 回避するのは非常に難しい」と言い切っている。上記以外にも、多くの金融界トップがリセッション懸念に言及し始めている」としています。
アメリカの重要な指標を発表している「カンファレンスボードが 5 月に世界各地域で行った調査 (回答企業数約 450 社)によれば、3/4 超の CEO が 2023 年末 までに主要事業地域でリセッションに陥るとみている。」としています。
さらに、「久しく聞かれなかった、低成長(スタグネーション)とインフレ (物価上昇)が併存するスタグフレーションに留まらず、リセッションとインフレが併存する「インセッション」という懸念 する出てきている。」と指摘しています。
日本での景気回復がなかなか進まない中で、欧米はいち早くパンデミックから脱却して、マスクなしの環境を作っていたことから、明るい展望があるのかと期待していましたが、どうもそうではなさそうなのです。
「今回のインフレ高進の原因を巡っては、…元を辿ればパンデミックがきっかけになっている事は間違いないだろう。」としたうえで、供給も混乱し、パンデミックの当初は、食肉、自動車、ガソリンも減産に追い込まれたと伝えています。
さらに、労働市場については、「パンデミック初期では大量の一時帰休、レイオフが発生。感染 状況が改善すると、今度は手厚い失業保険、学校閉鎖などによる育児、感染を懸念するマインドなどで、労働者はすぐに職場に復帰することはなかった。そこからさらに「大離職」と呼ばれる構造的現象的要因により、月間 400 万人以上が自ら離職するという状況が生まれている。」と現況を報告しています。
結果的に「賃金インフレ」が 米国で起こっているかどうかは議論が分かれるようですが、「パンデミック初期は低賃金労働者の大量レイオフなどにより、賃金上昇率は 21 年 3 月まで前年比+6~8%と高い水準が続いた。」と指摘しています。
「パンデミック開始以降の 17 カ月間平均では、CPI 上昇率 が前年比+6.7%なのに対し、賃金上昇率は同+7.3%と、CPI を上回っている。ただ直近 1 年間に限定すると、CPI は+6.9%、 賃金は+4.8%と賃金上昇率が大きく見劣りしている。…足元ではインフレにより消費者の購買力が徐々 に削がれ始めている」とも分析しています。
さらに、「2020 年夏から現在にかけて米国では 2012 ~13 年時のような記録的な干ばつが続いており、局所的な山火事や熱波も発生。穀物価格や食肉価格、さらには木材価格の上 昇圧力となり、住宅や家具の価格にも影響を与えている。また 高病原性の鳥インフルエンザ H5N8 型が 22 年 2 月から米国でも猛威を奮っており、36 州で 4 千万羽以上の被害が出ており、 鶏肉、鶏卵価格上昇の要因となっている。」となかなか報道されない周辺の事情も報告しています。
そのうえで、「もし低インフレの要因の1つがグローバリゼーションや最適化された供給網にあるとすれば、」と仮定したうえで、「…グローバリゼーションの後退や供給網強靭化、つまり万が一に備えた余剰性を抱えるというコストが高い供給網の構築は、逆の効果となり先進国でも潜在的なインフレ圧力を高めることになる。」と今後のアメリカの在り方が大きく世界経済に影響をおよぼすことを指摘しています。
結論としては、「変動要因は大きいものの、リセッションになり、かつリカバリーショットが打ちにくい状況に陥る可能性は決して小さくはない。」としています。
したがって、個別の企業単位では、「米国の金融当局が実際に需要抑制に走っていること、リセッションに陥っても政策には大きく期待できないこと、新たなインフレ /ディスインフレ環境が待ち構えている可能性などを踏まえ、ポートフォリオや事業計画のレビューを行うことが肝要だ。」としています。
大きなリセッションが来るとの指摘は、ここにもありました。ぼんやりと毎日のコロナ新規感染者数を見てため息をついているのではなく、やがて世界的な大きな波が日本経済に及ぼす影響について、そして、自分の仕事にどのように影響するのかを考え、準備したいものです。