こんにちは
認定支援機関 行政書士たいぞう事務所 融資コンサルタントの小堀大藏です。
あなたの事業が成功するよう祈って、このブログを書いています。
今週は、ここにきて、識者が「景気後退」、「リセッション」などという言葉で、現状や将来を語り始めています。いくつかのレポートを取り上げて紹介いたします。今週のテーマは、「コロナ、ウクライナ戦争、エネルギー不足、物価高、そして景気後退?」としました。
今日は、双日経済研究所「ため池通信 第746号 2022.08.05 米国経済はインフレを克服できるのか」です。
まず、IMFの最新版の報告書を取り上げています。
「今回のテーマは”Gloomy and More Uncertain” (陰り見え、不透明感増す)。半年前の予測と比べると、世界経済のヘッドラインが 1%以上も下方修正される内容となっている」としてきしています。
この報告書の原文さわりの部分を紹介すると、
「2021 年の一時的な回復に続いて、リスクが顕在化し始めたため、2022 年にはますます暗い展開が続いています。今年の第 2 四半期の世界の生産高は、中国とロシアの低迷により縮小しましたが、米国の個人消費は予想を下回りました。パンデミックによってすでに弱体化している世界経済は、いくつかのショックに見舞われています。世界中で、特に米国とヨーロッパの主要経済国で予想を上回るインフレが発生し、金融環境が引き締まっています。COVID-19 の発生とロックダウンを反映して、中国では予想よりも悪い減速。そして、ウクライナでの戦争からのさらなる負の波及。」となかなか厳しい文章から始まっています。
このような状況を、「ため池通信」で、「気になったことを以下の通りメモしておこう」として、リストアップしています。
* 米国経済が大幅に下方修正。前回 4 月版から▲1.4p(22 年)→▲1.3p(23 年)も下げている。「景気後退入り」の確率をかなり折り込んでいるように見える。
* ユーロ圏も低成長を予想。特にドイツ経済は、1.2%(▲0.9p/22 年)→0.8%(▲1.9p/23
年)と低迷を見込む。「ロシアからエネルギーを安く買い、中国に工業製品を高く売る」というビジネスモデルが崩壊しているように見える。
* 日本は 3 年連続で 1.7%成長を見込む。23 年末になって、かろうじてコロナ前の水準に届くくらいか。日本の場合は BA5 株の感染急拡大も不透明要因で、本稿執筆時点の累
計感染者数(13.62mil)のうち、直近 28 日以内分(3.89mil)が 28%を占めている。
* 中国経済は今年 3.3%成長を見込む。国家目標の 5.5%には遠く及ばないが、IMF がここまで「忖度しない」ことも珍しい。
* ロシア経済は若干の上方修正となっている。春以降の「対ロ経済制裁に対する過剰な期待感」が剥落しつつある。
そのうえで、「あらためて焦点を合わせるべきは米国経済、そしてインフレ対策である。」としたうえで、「政策金利は既に前回の利上げ局面(2015 年~2019 年)と同じ高さ(2.25~
2.50%)に到達している。前回は 3 年以上かけた水準に、わずか 4 カ月で並んでしまったことになる。だからと言って、打ち止め感があるわけではない」とも指摘しています。
この姿勢は、「インフレを止めることが最優先」であり、困難な条項であることは間違いないようです。「目下の最大のインフレ要因は賃金の上昇にある」としたうえで、その対応をしています。
すでに、その効果は出ているのかもしれませんが、統計データは遅れて出てきますので、思ったようなソフトランディングはできないのかもしれません。
ところで、アメリカの労働市場では、コロナ禍により、失業率 10%分(約 2000 万人)が失業し、「それが 2 年と少々でほぼ全数が戻ってきた」とその柔軟性について指摘しています。
すなわち、「この 2000 万人は、給付金で「爆買い」をしたり、家族と共に過ごす時間を増やしたり、あるいは大学に通うなどの経験を経たうえで、仕事に戻っている。もちろんこの間に、少なからぬ労働者が職業を変えているはずだ。当然、前と同じ給料では満足しない。「10 人に 1 人が仕事をリシャッフルした」と考えれば、米国経済の生産性向上効果は小さくなかったのではないだろうか。」とその大きな効果を指摘しています。
「逆に企業側から見ても、ほんの 2 年前に「従業員の 1 割をリストラする」機会があったことになるので、その分、財務体質は改善していたはずである。ゆえに現時点における労賃の上昇は、「賃上げを望む労働者と賃上げが可能な企業」という滅多にない組み合わせによって実現していることが分かる。
「それでは今後はどうなるのか。今までと同じように、どんどん変化していくと考えるべきであろう。労働市場の柔軟性こそが、他国には見られない米国経済の強さの秘訣なのだから、現在の需給逼迫も一時的な現象と見るべきだろう。つまるところ、現在のインフレは思った
よりも早く抑制されるのではないだろうか。」
日本の社会福祉的なバラマキとは違う側面がるようです。参考にしたいと思いました。