こんにちは
認定支援機関 行政書士たいぞう事務所 融資コンサルタントの小堀大藏です。
あなたの事業が成功するよう祈って、このブログを書いています。
今週は、実態として「消費者物価が上昇」していることを受けて、識者はどのように分析しているのかを、いくつかのレポートを取り上げて紹介いたします。
今日は、ソニーフィナンシャルグループ(株)の「グローバル経済・金利ウォッチ 2022.08.16」で金融市場調査部 シニアエコノミスト 宮嶋 貴之氏が書かれた「日本経済は景気後退に陥りYCC修正は遠のくのか?」を取り上げます。
宮嶋氏は、「始めに、日本の現状の景気についてみていこう。…4~6月期に感染状況は改善し、ゴールデン ウィークを中心に買い物や娯楽目的の外出が増加した。その結果、サービス消費を中心に個人消費は持ち直した。 しかし、…交易条件の悪化により、実質国民総所得(GNI)は2期連続のマイナスとなった。加えて、…景気回復力は緩慢だ。他の先進国・地域と比べても、日本のGDP 水準は低く、コロナ禍前の2019年平均の水準を一向に取り 戻せないままだ(図表1)。」と現状分析をしています。
また、日本の景気回復力の低い理由について解説しています。
「第一に、 新規感染者数に敏感な点だ。」として、「新規感染者数と買い物・娯楽目的の外出状況の推移(図表2)」を示しています。…「足下7月以降、オミクロン株BA.5による感染拡大により、外出は再び減少しており、 7~9月期の成長率が再び低下する可能性が示唆される。」と分析しています。
「第二に、サプライチェーン制約による悪影響が大きい点だ。他国・地域の鉱工業生産と比較すると、日本はドイツと並んで生産回復が突出して遅れている国となっている(図表3)。」としています。確かに、台湾や韓国とは違うようです。
この要因として、「サプライチェーンも広域に拡大」「IT産業の生産回復の影響が他国・地域よりも相対的に小さい点」「アジア各地で感染による工場の稼働低下が頻発」を上げています。
「日本経済が景気後退入りするとの見方も一部で指摘されており、暗雲が再び漂っている状況」としたうえで、オミクロン株BA5の拡大の中での経済活動と、世界の商品価格の上昇が一服する感もあり、「CPIの上昇も頭打ち感が強まってくる可能性が高い(図表4)。物価上昇による消費者マインド の冷え込みは今後、徐々に縮小していく見込みだ。」との明るい予想を提示しています。
しかし、「テレワークシフトや巣籠り消費の特需一服等から、半導体市況は今後ピークアウト感を強めていく公算が大きい。加えて、米国の景気減速、中国の景気停滞が追い打ちをかけ、グローバル製造業PMIなどを見る限り、製造業サイクルは山から谷へと向かっていくだろう。日本の 製造業生産が輸出を起点に本格回復する公算は小さい。」と日本が元気になる可能性について悲観的です。
「現状の自動車業には受注残 がまだ相応にあるとみられるため、先行きの生産は供給制約 が強まらない限り、2番底になる可能性は低い。しかし、2022年以降の受注はピークアウト感が強まっている。 世界的な景気減速の強まりなどから、自動車需要にも陰りが出始めているのだろう。」と日本だけでなく、新しい時代に向けて世界中が厳しい状況にあるとの見解です。
なお、最後に日銀のYCCに触れ、次の日銀総裁の交代まで難しいとの見解を指名しています。私には、安倍元総理と日銀の黒田総裁が結果的にその政策の成果を上げられなかったのだから、早めに交代をすべきであって、「任期一杯」政策を変えられないとする「常識」に疑問があります。
多くの問題を抱えている日銀と財政の件について、もっとわかりやすく政府も日銀も国民に語るべきで、「国民一人当たり1000蔓延の借金」と報道するマスコミにも、その内容をいろいろな切り口で解説し、将来の日本を担う人たちのために議論とベクトルを決めるよう世論を喚起するべきだと思います。