こんにちは
認定支援機関 行政書士たいぞう事務所 融資コンサルタントの小堀大藏です。
あなたの事業が成功するよう祈って、このブログを書いています。
ここにきて、円安の話が大きく取り上げられ、32年ぶりに148円/ドルになったと昨日は報道しています。次の山は150円/ドルなのでしょうか?この円安の原因は本当にFRBの利上げのせいなのでしょうか?本当は日銀が利上げに踏み切れない日本の経済のせいではないでしょうか?
先週は、中小企業のおかれた「これから」を「最近の主要な経済指標等から」考えてきました。今週は、10月中に発表されるという「総合経済対策」の内容について「新しい資本主義実現会議(第10回)」を参照しながらご紹介します。
日本経済の停滞の原因は、大きくはデフレであり、賃金が上がらない30年間と、新たな産業や世界に通用する会社が出現しないところにあるのではないでしょうか。
今日は、「Ⅰ. 人への投資と分配(労働移動円滑化、リスキリング、構造的な賃金引上げ)その1」を説明します。
この会議のレジュメは、「「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」の実施についての総合経済対策の重点事項」となっています。その最初に「現下のコストプッシュ型の物価上昇をカバーする賃金引上げ」をするとした内容が記されています。表題は、労働移動円滑化、リスキリング、構造的な賃金引上げなのですが、全く反対の書き出しです。
「物価上昇をカバーする賃上げ」をするほか、この10月から始まる最低賃金の引上げ(過去最高の31 円アップ)を実施し、その履行を確保するとしています。
すなわち、公正取引委員会は、「「パートナーシップによる価値創造のため の転嫁円滑化施策パッケージ」(令和3年12月公表)に基づき、①独占禁止法上の優越的地位の濫用に関する緊急調査、②下請法上の重点的な立入調査、③法遵守状況の自主点検の要請などの具体的取組を着実に実施」するとしています。
すでに、令和4年3月、対象となる22業種を選定し、受注者向け約8万社、発注者向け約3万社の書面調査を実施し、随時立入調査を実施しています、令和4年5月、対象となる4業種を選定し、重点的な277件の立入調査を実施し、令和4年9月、下請法違反が多く認められる19業種を選定したうえで、中小企業庁や事業所管省庁と連名で、関係事業者団体に対し、傘下企業による法遵守状況の自主点検を要請しているとのことです。。
大企業の中では、何らかの形で賃上げが実現しつつありますが、中小企業・小規模事業者では、大変難しいようですが、政府はその内容に一歩踏み込んで、中小企業の労働者にも賃金アップが届くよう指導を始めた様です。
また、中小企業自身が申請受領する「中小企業の事業再構築補助金・生産性革命4補助金」では、「陳上げを条件」とするようです。
今後は、従来から言われている「同一労働同一賃金」の遵守を徹底することや、最低賃金を早期に 1,000 円以上にすること、いわゆる「130 万円の壁」を取り上げ、女性の就労の制約となっている制度を検討することを約束しています。
次は、「労働者に転職の機会を与える企業間・産業間の労働移動の円滑化」です。
この度のコロナ禍で、同じように産業がダメージを受け、雇用が厳しくなった時、アメリカは失業者があふれ、手厚いセーフティネットで「失業手当」を支給し、労働者の生活を支えました。他方で、日本は「雇用調整助成金」を企業に出し、失業者が増えないようその雇用を企業側に要請しました。
コロナ禍がピークを超えると、アメリカの失業者は、かつての低賃金の仕事には戻らず、かつての仕事より、あるいは失業手当より多い収入を求めて移動し始めました。その結果、賃金をあげなくては、必要な人材を確保できない業界が現れてきました。賃金アップがインフレをリードし始めています。
日本は、ゼロゼロ融資により、潰れてしまってもよい企業が倒産せず、結果的に失業者が排出されず、従来の賃金よりも少ない「助成金支給」で、我慢をし続ける形になっています。つまり、労働移動は起きていないのです。
これは、政治主導で、今までになかった「ゼロゼロ融資」を行い、中小企業を再び「ゾンビ企業」にしてしまったようにも見えます。
金融庁が金融マニュアルを廃止し、地域金融機関を背中を押して、リーマンショックから立ち直り、合同合併を含めた業界再編と、中小企業へのリスケを終わらせようとしていた矢先でしたが、それ以上の過剰な貸付で企業も地域金融機関も、これからが大変です。