こんにちは
認定支援機関 行政書士たいぞう事務所 融資コンサルタントの小堀大藏です。
あなたの事業が成功するよう祈って、このブログを書いています。
先週、11月1日付で「金融機関向けの総合的な監督指針」の改定案が公表されました。ここでは、中小・地域金融機関向けのものを参照しながらご案内します。
今日は、「本編Ⅱ 銀行監督上評価項目、Ⅱ-10 「経営者保証に関するガイドライン」の融資慣行としての浸透・定着等 その1」です。
現行の規定では、「金融機関においては、経営者保証に関し、ガイドラインの趣旨や内容を十分に踏まえた適切な対応を行うことにより、ガイドラインを融資慣行として浸透・定着させていくことが求められている」とされていますが、改正案では、さらに、「その取組方針等を公表することが望ましい。」と公表を求めています。
さらに、「Ⅱ-10―2 主な着眼点」の(1)では、現行規定では、「経営陣は、ガイドラインを尊重・遵守する重要性を認識し、主導性を十分に発揮して、経営者保証への対応方針等を明確に定めているか。」に対して、改正案では「経営者保証への取組方針等を明確に定めているか」となっています。「対応方針」と「取組方針」では、その具体性が全く違うものを要求していることとなります。
また、この項の②では、現行規定は、「経営者保証の契約時の対応(適切な保証金額の設定を含む。)」となっていますが、改正案では、「経営者保証の契約時の対応(適切な保証金額の設定や、保証契約を締結する場合には、どの部分が十分ではないために保証契約が必要なのか、どのような改善を図れば保証契約の変更・解除の可能性が高まるか、の客観的合理的理由について、顧客の知識、経験等に応じ、その理解と納得を得ることを目的とした説明を行うことを含む。)」とかなり踏み込んだ「取組」を要求しています。
また、ガイドラインに基づく社内整備については、現行規定では、「ガイドラインに基づく対応を適切に行うための社内規程やマニュアル、契約書の整備、本部による営業店支援態勢の整備等、必要な態勢の整備に努めているか」と努力義務規定であったのが、改定案では、「ガイドラインに基づく対応を適切に行うための社内規程やマニュアル(「経営者保証に関するガイドライン」第4項(2)に掲げられている要素を参照の上、可能な限り、資産・収益力については定量的、その他の要素については客観的・具体的な目線を示すことを含む。)、契約書の整備、本部による営業店支援態勢の整備等、必要な態勢の整備に努めているか。」と、これまた、詳細な対応の内容を要求しています。
その上、申請項目(6)として、「保証契約を締結する場合には、どの部分が十分ではないために保証契約が必要なのか、どのような改善を図れば保証契約の変更・解除の可能性が高まるか、の客観的合理的理由についても、顧客の知識、経験等に応じ、その理解と納得を得ることを目的とした説明を行う態勢が整備されているか。また、その結果等を書面又は電子的方法で記録する態勢が整備されているか。」とその経過と証拠を残すよう指導しているのです。
ここまで具体的な対応と、その経過が書面で残すことになるとしたら、営業店のトップから営業担当まで、大変なストレスと書類を作りサインを求めるなどのステップを踏んで、「経営者保証」をお願いすることになります。
確かに、先週紹介した日本政策金融公庫の調査にも、金融機関側の「説明した」が、ほとんどの顧客からは「何の説明もない」に化けているアンケート結果が出ています。このギャップを埋めて、かつ融資を拡大していくには、金融機関側だけが汗を流すのではなく、借りる側にもそれなりの負担とディスクロージャーや報告義務があって、互いの成果に結びつけていく必要がありそうです。