認定支援機関 行政書士たいぞう事務所の小堀大藏です。
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12月23日に「新たな借換保証制度(コロナ借換保証)の創設」が発表されました。この施策の検討された衆議院にある衆議院調査局中小企業金融政策研究会が論文を発表しています。「中小企業金融をめぐる現状及びポストコロナに向けた今後の在り方」(『RESEARCH BUREAU 論究(第19号)2022.12.31』)
この論文を今週は紹介したいと思います。今日は、「はじめに」と「Ⅰ中小企業金融全般の動向」です。
【はじめに】では、「中小企業をめぐる長期的・短期的な経営環境の動向」と「中小企業金融の基本的な構造」を確認するとしています。
次に、「中小企業向け支援策のうち、主に資金繰り支援策の概要や実績」を確認したうえで、「現時点における支援策の評価」を整理するとしています。
さらに、「ポストコロナ時代の経済社会の変化に対応するべく、求められる中小企業向けの金融支援の在り方」について検討したとしています。
【 Ⅰ 中小企業金融の動向 】では、まず、長期的な推移を経済動向の視点と中小企業の視点で整理しています。
以下のグラフが示すように、景気の動向は、1991年のバブル崩壊後、低迷を続け、やっと回復基調に入ったところで、2009年のリーマンショック、その後の2011年の東北大震災とさらに厳しい環境が続きました。
最近になって多少戻していたものの、景況感は決して良くない状況で、コロナのパンデミックとなり、実質GDPは、リーマンショックを超える▲4.6%となり歴史的な下落となったと分析しています。
「資金繰り判断DIについて、中小企業の改善のテンポが大企業のそれと比べて速かったことや、金融機関貸出態度判断DIについて、中小企業と大企業の値が逆転したこと(プラス圏内ではあるが、大企業の方が中小企業に比べて悪化)など、これまでとは異なる動きも見られる。」との従来の景気減速とは違う様相についても触れられています。
また、「貸出残高は、足元ではともに1999年以降で最も高くなっている」と報告しています。
コロナ禍から現在までの「短期推移」については、「実質GDP成長率(四半期、季節調整値)(図表7)は、2020 年4-6月期に▲8.1%と急激に落ち込んだ。」とし、これは、「2008年のリーマンショックが海外発の「信用収縮・需要ショック」、2011年の東日本大震災が国内発の「供給ショック」であったのに対して、今般の新型コロナの影響は、需給両面に見られるが、より需要ショックの側面が強いとされる。」としています。
短期の中小企業の動向としては、景況感が回復せず、厳しい状況が続いていると分析しています。
中小企業向け資金繰り支援策が終了したことから、伸び率は鈍化しているものの、残高が減り始めるところまで至っていません。