
認定支援機関 行政書士たいぞう事務所の小堀大藏です。
あなたの事業が成功するために何か役に立つ情報をできるだけわかりやすくお伝えしようと考え、このブログを書いています。
昨日からは、日本の主要な信用調査機関である東京商工リサーチと丁コックデータバンクの2022年の総括や2023年の展望等をご紹介しています。
本日は、帝国データバンクが2023年1月13日発表した「特別企画:「ゾンビ企業」の現状分析」を取り上げます。
副題は、「ゾンビ企業」は約18.8年万社、前年度から一段の増加~ゾンビ企業率は12.9%、全企業の1強が該当~として、「比率も、社数ともに、一段の増加となっている」
と報告しています。

「業種では建設業が最多33.3%」、「売上規模では1~5 億円が44.4%」、「後継者不在が61.8% 」です。

また、示されたグラフ等を見ると、「ゾンビ企業」の総計は、188,000社に上り、2020年調査の165,000社に対し、23,000社増えています。特に、その中で「動向注視」とした企業数は、33,000社と2020年に比べ、7,000社増えています。

特に、経常利益率が低迷し続けていることが問題です。2020年度のゾンビ企業のそれが、▲3.59%であったのに対し、たった1年後の2021年度の調査結果は、▲4.94%と急激に悪化しています。

当然「ゾンビ企業」は、コロナ融資を借り入れているわけですが、「現在借りている・借りた2」と回答した企業は全体で50.5%。対象を「ゾンビ企業」に限ると、その割合は76.3%と8割近くに達した。後者が前者を25ポイント以上上回っている。」と報告されています。

さらに、「「返済に不安」があると回答した企業は調査全体で12.2%であった。しかし、対象を「ゾンビ企業」に限ると、その割合は20.5%に達した。」とも報告されています。

帝国データバンクは、まとめとして、「破産や民事再生法などの法的整理は2022年の通年で6,376件(2021年は6,015件)発生した。これに対して昨年度の私的整理は2,600件強となり、法的整理に対して既に3分の1を超えている。いずれ両者が均衡し、その比率が逆転する日が来ないとも限らない。」と2023年以降の予想をしています。
その理由として、「足元でのゾンビ企業数の増加は、コロナ禍で収益、財務内容の悪化した企業がコロナ関連融資によって延命されていることが要因」と分析したうえで、「返済負担を軽減するために政府が開始した借換保証は、100%保証の既存融資の保証を維持し、最長5年の元本返済期間据え置きを可能にするもの。」だと評価しながら、「ただし、ゼロゼロ融資とは異なり、金融機関の伴走支援、経営改善計画策定が条件になるとみられている。」と単純にはいかないことを示唆しています。
金融機関が、ゾンビ企業に伴走支援をするのか、経営改善計画(経営行動計画 小堀)の作成を支援するのか、「この成否がゾンビ企業の今後を左右することになる」としています。また、「導入が検討されている「私的整理円滑化法案」の動向と合わせて注視が必要だ。」と環境整備が進んでいることが示されています。
帝国データバンクの報告書は、「しかし、一口にゾンビ企業といっても全て同じではない。行政や金融機関はそれぞれの中身や将来性をしっかり見極め、正常化へ向けたサポートを行っていくことが重要となろう。」と最後を締めくくっています。
確かに、リーマンショック以降の金融優遇策からもうそろそろ事業承継等で、次の世代にバトンタッチするか市場から退席することを求められていた「ゾンビ企業」も、コロナによる補助金、支給金、ゼロゼロ融資で、生き残ることができ、倒産を免れてきたわけですが、そろそろ限界かもしれません。
その代わり、今までの労に報いて、「身ぐるみを剥ぐ」乱暴をしないルール、次にその事業を担う方々に、無理やり借金とその保証を押し付けない制度がセットで動き出しそうです。
皆が元気になり、新しい国を、経済を担っていく形を、作らなくてはなりません。残念ながら、今のコロナ政策の変更も、労働組合を持たない医療従事者の崇高な精神と厳しい肉体的な犠牲の上にあります。潜在的な看護士が、介護士が、保育士が、喜んで市場に戻ってきて活躍されるのであれば、社会をを維持する重要な職種の人員不足は解消されるのではないでしょうか。