認定支援機関 行政書士たいぞう事務所の小堀大藏です。
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先週の1月23日に衆参両院で、2023年の岸田総理施政方針演説が行われ、先週の国会は、その内容や各党の質問等で国会がスタートしました。
今週は、「施政方針演説」を知ることで、岸田総理がこの国のかじ取りをどのようにしようとしているのかを少し理解したいと思います。
本日は、2022年1月17日の1年前の「施政方針演説」と比べて、その思いや政策への変化を取り上げます。
1年前の208国会の冒頭で施政方針演説をした岸田総理は、1カ月後に、ロシアがウクライナに侵攻することを予想できてなかったのかもしれません。
その演説のテーマは、「コロナ後の新しい日本を創り上げるための挑戦」でした。新型コロナに対する対応、オミクロン株への対応を子細にわたって説明し、「息の長い感染症対応体制強化」として、迅速な薬事承認や日本版CDCについても触れていました。
さらに、自身が提唱する「新しい資本主義」を実現するために、「デジタルの活用」「人への投資」によって「中間層の維持」するとしました。
「資本主義の負の側面が凝縮している気候変動問題」と定義した上で、リップサービス程度に触れ、女性や少子化。子ども政策には項目があるだけで、主張さえも認められません。地域にも、災害対策にも従来政策を主張したにすぎません。
第8項目目にやっと、「外交・安全保障」です。最近よく聞く「新時代リアリズム外交」を説明しています。「普遍的価値の重視」「地球規模課題への取組み」「国民の命と暮らしを守る取組み」の3点を挙げています。「国民の命」については、まさに「いわゆる「敵基地攻撃能力」を含め、あらゆる選択肢を排除せずに現実的に検討…防衛力を抜本的に強化」としています。しかし、その説明はほとんどありません。
ところが、今国会の施政方針演説では、最初の項目で「歴史の転換点」と今を強調し、そのうえで最初の方針説明は「防衛力の抜本的強化」です。(2項目でA4 2ページ)詳細は、3日目に取り上げますが、この流れは、年末の防衛3文書改訂、年初からのG’各国への訪問と、訪米の上、バイデン大統領への説明とがありました。
国内への、国民への説明を通り越して、「勝手に」進められているかのように見え、国民の一人として不可解な気持ちですし、なにか順番が違うのではないかと思ってしまいます。
今の動き方は、衆議院で圧倒的な多数をもった自民党のおごりのようですし、まるで歯止めの利かない大統領のような動きに見えます。アメリカでは下院に予算の権限がありますが、日本では、ある意味での調整弁がなくなっている気がします。
「新しい資本主義」では、その定義として「官と民が連携し、国家間競の競争に勝ち抜くための、経済モデル」とし、従来の市場に任せるスタイルからの変更です。「安全保障・防衛」をキーワードに政府が介入する枠組みができてくるようです。
物価高対策については、「経済あっての財政であり、経済を立て直し、そして、財政健全化に向けて取り組みます」と経済優先を印象付けます。そのために「賃上げ」「リスキリング」を企業側に求めています。()
「成長と分配」として、GX、DX、イノベーション、スタートアップに分けて紙面を割いており、取ってつけたように「資産所得倍増プラン」となっています。所得ではなく、資産の倍増であるなら、日本の資産は、どこに行ってしまうのでしょうか。(A4 3ページ)
また、今回は昨年とは違い「こども・子育て政策」「包括的な経済社会づくり」に約2ページを割き、「新しい資本主義の取組み」の「次の段階」として取り扱っています。
ついに「新型コロナ」は半ページとなり、終わったかのような取り扱いです。
また、外交・安全保障では、国連安全保障理事会非常任理事国、広島でのG7、国際賢人会議「ヒロシマ・アクション・プラン」、などが続きます。ここに表明された内容は、この施政方針演説の10日前にアメリカのジョンズ・ホプキンス大学でのスピーチとかなり重複しています。
こうして見てくると、岸田総理は、昨年のロシアのウクライナ侵攻以降、日本の防衛、外交を亡くなった安倍元総理に強く指導されただけでなく、経済、財政についても、自民党総裁選挙で主張していた内容から、かなり変質していると感じます。
世界は動いているので、変化に対応することは「良い」と思っていますが、私のような政治の素人には、何の説明もなく、過去の発言を翻して発信をしている政治家には、国民に説明責任がありますし、「信頼」を得るための努力を望むばかりです。