認定支援機関 行政書士たいぞう事務所の小堀大藏です。
あなたの事業が成功するために何か役に立つ情報をできるだけわかりやすくお伝えしようと考え、このブログを書いています。
先週は、内閣府の「日本経済2022-2023」を読みました。今週は、それを受けて、最新の中小企業の実態はどうなっているのかを「全国中小企業動向調査(日本公庫)」等の調査結果を確認しながら、実態を理解していきたいと思います。
まず、今日は、日本政策金融公庫総合研究所の「全国中小企業動向調査・中小企業編」結果概要を紹介いたします。(明日は小企業編です。)
この調査は、日本公庫の取引先を対象に実施しているもので、2022年12月中旬に調査対象13,266社、有効回答企業数5,582社、回答率42.1%となっています。
総括として中小企業の現況判断は、「中小企業の景況は、一部に弱さがあるものの、持ち直しの動きがみられる」です。
「今期(2022年10-12月期)の業況判断DIは、前期(2022年7-9月期)から1.0ポイント低下し、4.5となった。」「来期(2023年1-3月期)は2.6と低下し、来々期(2023年4-6月期)は5.2となる見通しである。」です。
「今期の業況判断DIを業種別にみると、製造業は、電気機械、電子部品・デバイス、その他製造業等が上昇した。一方、鉄鋼、はん用機械、木材・木製品等は低下した。」「非製造業は、水運業、運送業、不動産業等が上昇した。」としています。
次に、「売上DIは、前期から0.1ポイント低下し、18.0…(図-4)。5期ぶりの低下ですが、DIの水準は高い水準を維持…来期は17.7、来々期は16.7と、それぞれ低下する見通し」と今後、低下する予想となっています。
また、「純益率DIは、前期からマイナス幅が1.5ポイント拡大し、-13.2…(図-5 )。 原材料やエネルギーなどの価格高騰が背景…。来期は-10.1、来々期は-8.9と、マイナス幅は縮小する見通し…。」としています。
さらに、「今期の販売価格DIは、前期から5.6ポイント上昇し、47.9となった。」「仕入価格DIは前期から2.0ポイント上昇し、90.3となった。」としたものの、「来期の販売価格DIは低下、仕入価格DIも低下する見通しである。」と予想しています
また、「今期の資金繰りDIは前期から低下した。長期借入難易DIと短期借入難易DIはともに前期から上昇した。」と資金繰り環境に変化が表れていることを報告しています。
次に、「今期の従業員DIは、前期から0.5ポイント上昇し、2.7となった。来期は上昇する見通しである。」とし、雇用環境が悪化し始めていることを指摘しています。
また、「今期の設備投資実施企業割合は、前期から1.0ポイント低下し、34.5%となった。」と設備投資への動きが鈍く、腰折れしたこともわかりました。
なお、「当面の経営上の問題点をみると、「原材料高」が34.0%と最も多く、次いで、「売上・受注の停滞、減少」(25.9%)、「求人難」(21.1%)となっている。前回調査と比べると、「求人難」は3.2ポイント上昇した。「原材料高」は0.9ポイント低下した。と報告しています。
明らかに、経営の問題点は、コロナ禍による売上減から、原材料高による採算悪化とコロナ後に向けて求人難の再来であるようです。まさに、原価を価格に転嫁できるか、魅力的な会社として人材を確保できるかが生き残りのカギであることが分かります。