認定支援機関 行政書士たいぞう事務所の小堀大藏です。
あなたの事業が成功するために何か役に立つ情報をできるだけわかりやすくお伝えしようと考え、このブログを書いています。
今日も、引き続き、野村総合研究所 未来創発センター 戦略企画室長 中島 済氏のレポート『先進国から滑り落ちる日本。復活のカギは社会のマインドチェンジ』をご紹介します。(このレポートは、印刷もコピーもできない形で発表されていますので、できるだけ他の公表されているデータやグラフなどを添付して説明の補足をします)
今日は、「第2章 急速に地盤沈下が進むのに危機感が高まらない日本」「第3章 リーダーに求められる危機感醸成を意識した改革プロセス設計」「第4章 沈みゆく日本経済 リーダーは改革に向け、社会マインドに働きかけよ」をお伝えします。
ここからは、何もしない日本人、現状維持の中に埋没する日本人を目覚めさせ、何とかしなくては日本がダメになってしまうという「危機感の叫び」です。中島室長の想いが伝わってきます。
「第2章 急速に地盤沈下が進むのに危機感が高まらない日本」では、日本人の多くが「世の中はよくならない、変わらないと思っている」とこの30年間で低迷した中で育った日本人の心情を報告しています。
「こんな状況でも、半分以上の人が生活に満足している」とその感覚に疑問を呈している。同時に「自らの努力で現状を変えようという熱意も乏しい」と嘆いています。
確かにそうかもしれない、しかし、「失われた30年」を見てきた立場からは、バブル崩壊、就職氷河期、リーマンショックと多くの困難で経済が停滞し、非正規労働者が増え、労働組合が機能しなくなった社会で、多くの国民が下を向いて生き延びてきたのです。
できる範囲の中で自らの欲望を抑え、現状維持で、「胡麻化してきた」ように感じます。幸せ感はデジタルも後押ししていたのかもしれません。
また、「本当に学ばない日本人」という項目では、自己啓発をしないことを指摘しています。さらに「日本を見限って外に飛び出す動きも起こらず」、ましてや「挑戦したら損をするというマインドも根強い」と指摘しています。
多くの日本人がこの30年、ドンドン貧しくなる中で内向きになってきたのかもしれません。このレポートに示すグラフなどを見ても、ビジネスマンが自己啓発をして学んでも、転職や昇給に結びつくことはなかったためとも思われます。
「リスキリング」や「転職」が取り上げられるのは、ここ数年の話です。何か学んでも「転職」して次のステージを得て昇給を実現できるイメージがなかったのです。その従来からの慣行が変わっていないからです。
この1年のロシアによるウクライナ侵攻によって、食料やエネルギーの価格が不安定になり、世界中でインフレが一挙に始まり、日本でも遅れて影響が出てきています。まさに、今外圧によって、全く上がってこなかった賃金について春闘では、大きく動き出しました。
第3章の「リーダーに求められる危機感の醸成を意識した変革プロセス設計」では、「あらためてハーバード大コッター教授の代表論文に学ぶ」として「最初の一歩は、危機感の醸成」をするべきだと訴えておられます。
「リーダーに求められる危機感醸成のためのプロセス設計」をするために、上記のステップを参考すべきだともしています。
また、「危機感醸成に向けて求められる感情に訴える工夫」として、コッター教授の理論を紹介されていますが、「受け手の心にしっかり届くよう」「聞く人たちが、(悪いことも)(よくなるだろうことも)それをクリヤにイメージできる…心に届くストーリーにして…映像なども駆使して」と訴えています。
最後の第4章「沈みゆく日本経済。リーダーは変革に向けた社会のマインドに働きかけよ」では、正論を語り、「それを理解しない受け手たちを批判して入ればよい時代はとっくに過ぎている」とした上で、本格的な社会変革を実現するために、リーダーの危機感と想いを共有するために、まずは「危機感の醸成」から始めよとしています。
ここ数年、これらの情報は話題になることが多かった割には、それぞれの課題ごとに「問題点の指摘」や、縦割りの分野での課題解決を訴えるレポートが多かったように思います。これからは、政府も省庁の壁を越え、民間も業種の壁を越えて議論をし、改革しなくてはならないと思います。
この数年、厚生労働省の官僚と第三者である学術機関等の取組みの姿勢が全く進化していなかったのには驚きを覚えています。とにかくこのまま「凋落する日本を見たいのか」と
政治家の皆様にも問いかけたいです。