認定支援機関 行政書士たいぞう事務所の小堀大藏です。
あなたの事業が成功するために何か役に立つ情報をできるだけわかりやすくお伝えしようと考え、このブログを書いています。
先月の初めにリクルートワークスの『未来予測2040 労働供給性やっく社会がやってくる』を紹介しました。今週はもう少し近未来の話です。みずほリサーチアンテクノロジーズの『人手不足は2030年時点で約700万人に』(みずほレポート 2023.04.28 )を紹介します。
今日は、「人手不足に対応する「求められる政策の方向性」」を紹介します。
レポートの最後で、「求められる政策の方向性」として、以下のような一欄が提示されています。
一つには労働供給の減少緩和を取り上げ、「外国人労働者」に触れています。この円安の中で、かつ、日本的な雇用環境や年功序列、男女間の不平等など問題が多い中で、本当に日本を選択してくれるのか心配になります。
ここでは多くは取り上げませんが、4月26日に公表された国立社会保障人口問題研究所の外国人労働者の流入予想は、驚くべき数値で、2065年、これから40年後には日本の人口の9.8%が外国人によって占められると想定されています。
この数値をもとに政府は施策を創っていくのでしょうから、「外国人の移民政策」は、アメリカの様になっていくのかもしれません。
また、多くは触れてこなかった「年収の壁」解消について指摘しています。正直、もっと深く調査分析した上で、パート等の年収の壁に関する政策の提言まで踏み込んでほしかったとも思います。
これによって、さらに女性の社会参加や、長時間労働を期待しているのでしょうが、それに見合った若者への社会保障や子育て支援などの総合的な支援策がセットでなければ、多くの中小企業の個別の問題に押しつぶされるかもしれません。
次は価格転嫁の促進です。サプライチェーンが世界に分散されていることから、価格転嫁をしたい中小企業も複雑です。今まで、国内では対応できないので、完成品メーカーについて行って部品メーカーが世界に飛び出し、生き残ってきたのです。国内の監視や不公正取引の指導で間に合うのでしょうか?
最後は労働生産性の向上です。
ここにでは、設備投資には、補助金などの活用が謳われています。また人的資本投資に関しては、補助金や公的訓練などが並べられています。
今までの企業の能力に任せっきりだった政策が、一歩踏み込んで個人にも、企業にもリスキリングができるよう補助金を出したり、転職を機会に公的な職業訓練、あるいは職場からしばらく離れた女性の方のための学びなおしをしたりするなどをイメージしているようです。
ここまでが、みずほR&Tのレポートの内容です。たくさん分析した割に、「求められる政策の方向性」は、「方向性」という抽象的な内容に落ち着いてしまっています。ここまできているのですから、「骨太の方針」に影響を与えるような提言を期待していました。
問題は、今までの30年間を、世界で一番だった日本を取り戻せるのかです。中途半端な政府の指導や投資では再生できないかもしれません。官民ではなく、民間が主導して、今の許育政策、労働政策などを変え、従来の日本的経営のアレンジではなく、新たな日本的経営へ脱皮することが必要です。
日本には、老人も女性もまだまだ、「働くこと」を誇りに思う方々は沢山います。学びやすい環境を、働きやすい環境をしっかりと創り上げ、世界から有能な人材が日本に集まり、日本の街にも、田舎にもしっかりと根付いていける国づくりを目指して欲しいものです。