認定支援機関 行政書士たいぞう事務所の小堀大藏です。
あなたの事業が成功するために何か役に立つ情報をできるだけわかりやすくお伝えしようと考え、このブログを書いています。
今週は、1~3月の中小企業に関する動向調査が発表されましたので、その中の4つの調査結果と、1つの特別調査を紹介します。
今日は、信金中央金庫 地域・中小企業研究所『全国中小企業景況動向調査のコメントから』(2023.04.28)です。
このレポートは、「全国中小企業景気動 向調査(調査期間:2023年3月1日~7日)において、信用金庫調査員が全国の中小企業から聴取したコメントをもとに、中小企業の経営の状況についてまとめた」ものです。
最初に(図表2)のコロナ重症患者の推移を示して、「2023年3月の業況は、…2023年6月見通しは改善を見込んでいることから、業況が低下傾向に転じているとまでは言えない。」と評価しています。
いつも拝見するのが「死亡者数」であるので、「重症者数」に絞り込んだグラフを見るのは初めてでしたので、視点を変えると世の中の見方が変わることが分かりました。
そのうえで、簡単に動向調査の結果を紹介しています。
「業況判断D.I.は、…業況が低下傾向に転じているとまでは言えないと判断することができよう。」としています。
また、「資金繰り判断D.I.は、…資金繰りは安定して推移しているといえよう。」とした上で、「ただし、 今後、実質無利子・無担保融資の返済が本格化する予定であるため、資金繰りの状況に は注視が必要である。」と但し書きを添えました。
さらに「人手過不足判断D.I.は、…マイナス幅はコロナ前の水準(2019年は、△27~△29程度で 推移)に徐々に近づいており、深刻な状況が続いている(図表3左下)。特に建設業やサービス業において人手不足感が強い。」と分析しています。
「設備投資実施企業割合は、…新型コロ ナウイルス感染拡大で落ち込んだ後、ゆっくりと改善傾向にあったものの、直近では改善に一服感がある」としています。
総括としては「全体としては、業況や資金繰りは安定しているものの、人手不足の深刻さが際立っているといえよう。」としています。
個人的な感想ですが、この4つのグラフを見る限り、景況感はコロナ禍から徐々に回復を継続している。最近では、コロナ前まで人手不足が進み、資金不足感はないが、設備投資をして前進しようとまでにはいたっていないとの印象を持ちます。
さて、本論です。「本稿では、これらのコメントを「コロナ禍からの回復」「仕入の 困難、仕入値・経費の上昇」「価格転嫁」「人手不足」「デジタル化」「前向きな取組 み」の6つに分け、動向をまとめる。」として、個別にコメントをまとめています。
一つ一つのアンケートから、拾い集めた内容ですが、一番勉強になっているのは、アンケートを聞き取っている信用金庫の営業の方々なのかもしれません。そこから、地域の目線、業界の目線、そして目の前のお客様の実情に深く理解をすることができるのだと思います。
「コロナ禍からの回復」
①新型コロナウイルスの感染状況が落ち着いてきたことを受けて、 業況が回復基調に転じたと指摘するコメントが多くみられた
②一方で、コロナ禍の影響はまだ完全には収まっておらず、業況がいまだに厳しいとの声も聞かれている。
③新型コロナウイルス感染症の感染症法上の分類が5類に移行される・・・、さらなる業況回復 を期待するコメントもみられる
「仕入の 困難、仕入値・経費の上昇」
①コロナ禍に伴う各種部品等の調達不足や、鳥インフルエンザに伴う鶏肉や卵の品薄に 悩んでいるとの声が聞かれる
②なかには、…、一部の企業の行動を受けて品薄感がさらに増幅している恐れがあるとのコメントも散見される
③また、原材料価格高騰に加え、電気代引上げなど、仕入値および経費の上昇が経営を 圧迫しているとの声は、前回や前々回に引き続いて多く聞かれた
④「原油高や電気料金高騰を受け、資金繰りが厳しい状況が続いている。」仕入値および経費の上昇が資金繰りにまで悪影響を及ぼしているとの声も聞かれる
「価格転嫁」
①仕入値および経費の上昇を受けて、販売価格への転嫁ができるかどうかが経営上の大きなテーマ
②価格転嫁を実行し、成果が出ているとの声が ある一方で、…価格転嫁が困難であったり、実行できないとの声も聞かれ ている。
「人手不足」
①人手過不足判断D.I.の動きと整合するように、人手不足によって事業に支障が出ている、とのコメントも多くみられる
②一方で、人手不足を受けて、生産性向上を進めるほか、人材育成や待遇改善を進める ことで人材の定着を図る、とのコメントもみられる。
「デジタル化」
①デジタル化に対する現状や今後の姿勢についてのコメントが多くみられた。
②デジタル化に積極的な企業もみられる一方で、費用対効果や経営資源の不足などから消極的な企業もみられた。
③特に、企業の経営者や従業員の高齢化 に加え、取引先の高齢化がデジタル化の足かせになっているとのコメントが多く聞かれ た。
「前向きな取組み」
①今回の調査では、前回に引き続いて、新事業展開や新商品・サービスの開発などの前向きなコメント
②ECサイト等のネット販売、SNSなどの情報発信ツールによって需要の獲得を図るとのコメントもみられた。
③中小企業による需要獲得のための 新たな手段として注目されよう。
一つ一つのアンケートから、拾い集めた内容ですが、一番勉強になっているのは、アンケートを聞き取っている信用金庫の営業の方々なのかもしれません。そこから、地域の目線、業界の目線、そして目の前のお客様の実情に深く理解をすることができるのだと思います。