認定支援機関 行政書士たいぞう事務所の小堀大藏です。
あなたの事業が成功するために何か役に立つ情報をできるだけわかりやすくお伝えしようと考え、このブログを書いています。
今週は、以前から言われている「日本の競争力がなくなった」「賃金が上がらず、物価も上がらず」といった現況を解説してくれる簡単なレポートがありましたのでご紹介します。
みずほリサーチ&テクノロジーズのエグゼクティブエコノミストである門間一夫氏が書かれている「門間一夫の経済深読み」2023.05.23です。
今日は、2013年の日銀の「異次元の金融緩和」と円安を解説した「円安は金融緩和の効果なのか」を取り上げます。
最初に、「2013年に日銀が異次元の金融緩和を始めたころから、株価の上昇トレンドと為替相場の円安トレンドが明確になった」として、(図表 1)、(図表2)を示しています。
一つ目の図は、日経平均のトレンドです。バブル崩壊後の低迷した日本を象徴するような株価トレンドです。
二つ目の図は、為替相場のトレンドを示すグラフです。ドル円レートは株価とは逆に大きく落ち込んでいます。
「ただ、これが異次元緩和を起点とした因果関係によるものなのかどうかは注意を要する。」とした上で、「よく考えてみると、異次元緩和の開始時点において金利引き下げの余地はほとんどなかった。」と指摘し、「ほとんど金利が低下しなかった金融政策で、10年にわたる株高・円安の長期トレンドを説明するのは無理があるように思う。」と説明しています。
「その通り!」と言ってしまいたくなる単純明快な解説です。
「百歩譲って異次元緩和が株価や為替相場に相応の影響を与えたのだとしても」、と断ったうえで、この10年間の金融政策に疑問を呈しておられます。
「過去10年で日本の経済成長は一段と低下し、物価も賃金も上がらなかった。」「最近になって物価や賃金が上がり始めたのは、海外発のショックによるものであり、異次元緩和が「10年のタイムラグ」を伴って効き始めたからではない。」と断じています。
すなわち、「「金融緩和」→「株価・為替相場」→「経済・物価」という波及経路のうち、たとえ前半が働いても後半が働かないのなら、何のための金融緩和なのかという論点も残る。」とも指摘しています。
アベノミクスも、異次元の緩和政策も、しっかりと振り返ってその効果と問題点を整理し、今後の政策に活かされるべきものだと思います。
安倍氏はすでに亡くなっておられますが、そのことですべてが水に流されるものではありません。問題点は問題点として指摘し、課題はどこにあって、いつまでに解消すべきものなのかを議論して決め、実行されることを期待します。