認定支援機関 行政書士たいぞう事務所の小堀大藏です。
あなたの事業が成功するために何か役に立つ情報をできるだけわかりやすくお伝えしようと考え、このブログを書いています。
今週は、以前から言われている「日本の競争力がなくなった」「賃金が上がらず、物価も上がらず」といった現況を解説してくれる簡単なレポートがありましたのでご紹介します。
みずほリサーチ&テクノロジーズのエグゼクティブエコノミストである門間一夫氏が書かれている「門間一夫の経済深読み」2023.05.23を少し足りない部分を補論として取り上げます。
2023年2月21日 オークスカナルパークホテル富山で開催された「2023 北陸経済研究所 新春講演会」において門間一夫氏が『内外経済と金融政策』という演題で講演されています。
この内容が、「北陸経済研究 2023.6」に掲載されています。
「Ⅲ 日本経済の本当の課題」では、「大事なのは実質賃金の上昇」であり、日銀のいう「2%物価目標は達成できなくてもいい」と断じています。しかし、「賃金が上がらないのはなぜか」と尋ねたうえで、その犯人は「国内の空洞化が招いた円安」なのだと解説します。そして、そこから抜け出す方法は、賃金上昇以上の生産性の向上であり、そして、「生産性を上げるために必要なのは「国内市場の成長ストーリー」だとしています。
すなわち、「重要になるのは日銀の金融政策 ではなく、政府の成長戦略や企業のバイタリティなどです。」とし、あくまでも「大事なのは実質賃金の上昇」を打ち出しています。しかしながら、賃金アップの裏付けとなる「生産性をどうやって上げたら良いかを、…経済学者もエコノミ ストも誰一人正解をもっていません。」とも指摘しています。
また、「賃金が上がらないのはなぜか」という疑問については、「私が思うのは、企業が頭に置いている成長期待が非常に低い…高い賃金を払って、マーケットを拡大していくだけのエネルギーが生まれてこない」と分析しています。
国何成長期待がない中で、「企業が海外に出ていって国内が空洞化していったことで、国内で貿易黒字を稼ぐ力が衰えたことによるものではないかと私は思っています。…企業が内部留保を何に使っているかとい うと、その他固定資産にかなり投資されているのです 」と(図10)を示しています。
「日本企業は内部留保を海外投資の原資として有効に合理的に使っていて、そのリターンによって株価 が上がっているのです。」という解説はとても分かりやすいです。
「企業の強い資本基盤を海外にではなく国内にもっと向けてもらわなければ、国内の経済や賃金は上向いていきません…経常利益は7割も増えていて、株式配当も9割増えています。企業は海 外への投資によって収益を増やし、それを株主に還元 していますが、国内の人件費の方には行かないという 構造になっているわけです。」
その通り!だと思います。
「そのためには、やはり国内市場の成長ストーリーが 必要です。それがなければ日本経済が今後うまくいく ことはないと私は思います。」また、「日本国内にはこれだけさまざまな成長ストーリーがあるのだから、そこにもっと投資をして、そこで賃金を上げて人を育てていくように、株主から企業に対して圧力がかかるような状態を作ることが重要です。」
「それができなければ、日本で高い賃金は実現しない」としたうえで、「それに向けて政府が どのような成長戦略を打ち出していくかが今後のポイント」と断じています。
私は、この門間一夫氏の案を是とし、今月にも取りまとめられる新しい「骨太方針」の内容に期待します。