認定支援機関 行政書士たいぞう事務所の小堀大藏です。
あなたの事業が成功するために何か役に立つ情報をできるだけわかりやすくお伝えしようと考え、このブログを書いています。
今週は、この20年間、経済が停滞してきた結果、アジアの周辺国から追い上げられている原因は、以下のようなマイナスのループによるものではないかとして分析している。
ハイテク製品の輸出低迷 ⇦ 科学技術の研究・開発力後退 ⇦ 高度専門人材の育成不足 ⇦ 大学院での博士課程の人材減少 ⇦ 科学技術系の大学生不足 ⇦ 日本独特の雇用環境や高度専門人材軽視の民間企業等々
今日は、「大学院教育の遅れ」を具体的にみていきます。(大学院での博士課程の人材減少 ⇦ 科学技術系の大学生不足)
「日本の大学院進学率は他の主要先進国に比べて際立って低く、そのため、修士・博士号取得者数は人口あたりでみても絶対数でみても大きく劣後している。」
これを見て危機感を持って対応してこなかった文科省や経済界に憤りを感じてしまいます。15年前にこんな数字だったのに、かつてノーベル賞を取られた先生たちがそろって「危機」を訴えておられたのに、無策であった結果かもしれません。
「主要7か国の人口百万人あたり修士号取得者数をみると、日本(2019年)は592人にすぎない。これは、…、中国(2020年)の500人と大差がない。科学技術に直結する自然科学分野に限ってみても、日本は最低である(前頁図表10・左)」と。
「同様に、…博士号取得者数を比較すると、日本(2019年)の120人」で、「日本は独・英・韓・米の半分以下にとどまっている(前頁図表10・右)。」と報告しています。そのトレンドは、「中・米・英・韓は増加基調、独・仏は横ばいであるのに対し、日本は2006年をピークに減少傾向にある(図表11)」としています。
「修士課程や博士課程への重要な供給源である外国人留学生の数が人口比でみて他の主要先進国に比べて少ないこと(図表12)」、「高等教育における公財政支出の乏しさ」、「家計負担の重さも大きく影響しているものと考える」と報告しています。
「東南アジアの「中進国」やインドでも進学率が急速に伸びていることがみてとれる。」として以下の一覧表も添付されています。
将来は、「大学・大学院レベルの教育拡充および高度専門人材の供給拡大とともに、科学技術分野における研究・開発力を独自に強化していくことで、ハイテク産業分野で今後日本をキャッチアップしていくことは十分想定される。」と結論づけています。
以前拝見したテレビ番組で、タイの女性で修士課程を経た技術者が、日本企業に津尾tメタが、30歳のレベルで、同じ卒業生で欧米、東南アジア、地元の企業の給与差があまりに大きくなり、昇進や昇給を要求したが、「日本的な人事制度」、「慣例」に阻まれ、退職して倍近い給与の会社に転職する話がありました。これは根が深いです。
また、博士課程の30歳近くの学生が、大学に残っても食べていけず、奨学金の借金を考えると働かざるを得ないといった悲鳴のような内容の番組もありました。これらの状況を看過してきたのは、日本の大学に対する認識や修士、博士の選考や業績よりも、いまだに続いている大学生の一括採用、大学のブランドと会社のブランドが重要視されてきたからではないでしょうか。
博士を出ても、1年生は1年生、所得も経験も年齢を経てからの入社では不利で、博士よりもどの大学かを選考の最初にしているのが実態です。
それどころか、今の制度の中では、大学3年には就職活動をせざるを得ず、大が4年の6月には就職先が決定するとの仕組みでは、勉学をするための環境すらないのではないでしょうか?企業にとっても、学生にとっても不幸です。特に、就職後の離職の高さから考えても、企業での教育の成果も残らない構造となっているのではないでしょうか。