認定支援機関 行政書士たいぞう事務所の小堀大藏です。
あなたの事業が成功するために何か役に立つ情報をできるだけわかりやすくお伝えしようと考え、このブログを書いています。
今週は、この6月7日の第8回経済財政諮問会議でほぼ大枠が決まった2023年度「骨太方針(原案)」の概要を理解するために、ザッと目を通してみたいと思います。
今年度は、本格的な岸田政権の政策展開の年かと思いきや、広島サミット後、国会の終盤を見据えて「衆議院解散」の臭いがしてきました。
「骨太方針2023」を基本に、しっかりとした政策を実行することなく、選挙に出るということは、自らの政権の維持には必要なのかもしれませんが、行政の停滞と選挙目的の歪みが発生することがあるようです。
まず、今日は、第1章の「マクロ経済運営の基本的考え方」を具体的にみていきます。
3節に分かれて説明されています。
1.本基本方針の考え方
2.環境変化に対応したマクロ経済運営
3.持続可能な成長の実現に向けた経済構造の強化
1.本基本方針の考え方
「我が国は内外の歴史的・構造的な変化と課題に直面している」としたうえで、「法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序」の維持・強化」すると宣言しています。
「世界経済の下振れリスクへの対応…世界規模での気候変動や災害問題の克服、…経済安全保障に対応したサプライチェーンの再構築など、…世界的な課題に対する果断な対応と国際協調が一層求められている」と現在の世界情勢を分析しています。
「経済財政運営と改革の基本方針2023」においては、以下の4点を基本方針とすることを示しています。
・ 「…マクロ経済運営の基本的考え方を示すとともに、「新しい資本主義」の実現に向けた構造的賃上げの実現や人への投資、分厚い中間層の形成に向けた取組や、GX・DX、スタートアップ推進や新たな産業構造への転換など、官と民が連携した投資の拡大と経済社会改革の実行に向けた基本方針を示す。
・ 「少子化のトレンドを反転させる」…「多様性が尊重され全ての人が力を発揮できる包摂的な社会」…「特色ある地方創生を実現するための方針を示す。」
・ 戦略的な外交・安全保障や我が国経済を強靱なものとする経済安全保障、エネルギー・食料安全保障についての方針を示す」…「防災・減災、国土強靱化の推進、東日本大震災等からの復興、国民生活の安全・安心に向けた方針を示す。」
・ その上で、これら政策遂行の基盤となる中長期の視点に立った経済財政運営の方針を示し、令和6年度予算編成の考え方を提示する。
2.環境変化に対応したマクロ経済運営
「マクロ経済運営について、政府と日本銀行との緊密な連携の下、経済・物価・金融情勢に応じて機動的な政策運営を行っていく。」とした上で、政府の考え方、日銀の姿勢を示しています。
政府としては、以下のことをするとしています。
- 「賃金と物価の好循環」を目指し、…環境整備、適切な労働市場改革等を進める。
- 官民連携投資、…海外からの人材や資金の積極的な呼び込み等を通じ、国内投資の持続的な拡大を図る。
- 構造的な人手不足の問題の克服に向けた取組を進め…、産業構造の転換と経済社会改革を促進する。
- 成長力の向上と家計所得の幅広い増加に裏打ちされた消費・国内需要の持続的拡大が実現する「成長と分配の好循環」を目指す。
また、日本銀行においては、
「経済・物価・金融情勢を踏まえつつ、賃金の上昇を伴う形で、2%の物価安定の目標を持続的・安定的に実現することを期待する。」とし、今後とも、「大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略を一体的に進め…、デフレ脱却につなげていく。」としています。
経済財政諮問会議においては、
「マクロ経済政策運営の状況、物価や賃金、分配面も含めた経済の状況、経済財政の構造改革の取組状況などについて、定期的に検証していく。」としました。
3.持続可能な成長の実現に向けた経済構造の強化
我が国の人口は、…50年後(2070年)には現在の7割を切ると見込まれる」としたうえで、「本格化する人口減少社会において持続的成長と安心で幸せを実感できる経済社会を実現できる経済構造」を創り、…民需主導の持続的・安定的な経済成長を実現」するとしています。
しかしながら「家計の貯蓄率は低下傾向にある一方、企業は投資超過から余剰資金を保有する状態である貯蓄超過となり、政府は大きな財政赤字から脱却できずにいる。」と現状認識をしています。
従来は、「企業投資は海外に向かい、交易条件も悪化し、この結果、所得の流出、賃金の停滞等が生じてきた」としたうえで、「…女性・高齢者の労働参加や資産所得の拡大等により家計所得を押し上げ」、さらに「計画的投資の強化等、国内投資の強化が必要である」としています。
財政の健全化については、「高い収益・付加価値を実現させ、企業の投資超過へのシフトを促していく必要」とともに「…行財政の徹底した効率化や無駄の排除、…成果につながる賢い財政支出」等によって「政府の財政赤字が改善していく姿を目指す」としています。
そのために、「デジタル社会に対応し大胆に社会変革を進めつつ、変革に即した大胆な行財政改革に取り組む。 経済あっての財政であり、経済を立て直し、そして、財政健全化に向けて取り組むとの考え方の下、財政への信認を確保していく。」とまとめられています。