認定支援機関 行政書士たいぞう事務所の小堀大藏です。
あなたの事業が成功するために何か役に立つ情報をできるだけわかりやすくお伝えしようと考え、このブログを書いています。
さあ、先週は「コロナ融資が終わります」と注意喚起をしましたが、私の確認不足でした。申し訳ありません。
8月30日付で「挑戦する中小企業応援パッケージ」(以下「パッケージ」)が経産省、金融庁、財務省の連名で公表され、9月1日付で金融庁、農水省からは、「「挑戦する中小企業応援パッケージを踏まえた事業者支援の徹底について」(以下「徹底について」)指示が出ています。
まず、「パッケージ」は、「Ⅰ.将来の挑戦に向けたコロナ資金繰り支援」(以下「資金繰り支援」)と「Ⅱ.挑戦する中小企業の経営改善・再生支援の強化」(以下「経営改善・再生支援の強化」)で構成されています。
「資金繰り支援」は、4つの項目で構成されています。
- セーフティネット保証4号(100%保証)の借換目的での利用継続を【当面は23年12月末まで】延長
- 日本公庫等の資本性劣後ローンの限度額を引上げ(10億円→15億円)、申込期限を【24年3月末まで】延長
- 日本公庫等のスーパー低利融資・無担保融資の金利を引下げ(▲0.9%→▲0.5%)、申込期限を延長【24年3月末まで】
- 物価高騰対策のセーフティネット貸付の金利引下げ措置の申込期限を【24年3月末まで】延長
次に、「経営改善・再生支援の強化」については、内容はまだ不明ですが、「(仮称)挑戦する中小企業の経営改善・再生支援強化会議」を設置するとしています。
また、官民金融機関による経営改善・再生支援の取組状況等をきめ細かくフォローするとした上で、「3つのフェーズ」に分けて取り組むとしています。
ただ、いずれにしても、この対象となる企業は、「挑戦意欲のある」「中小企業」で、巷に圧倒的な数を占める「小規模事業者」ではないことを理解しなくてはなりません。
確かに、日本の中小企業を語るときに、大企業になろうとする意欲のある中小・中堅企業や、素晴らしい技術やアイディアで世界を目指すユニコーンを育て、生産性をあげて日本経済の新たな牽引車にしようとする思いはわかります。
したがって、時代の趨勢に流されていく小規模事業者には、あまり選択肢はなさそうです。インフレ経済が始まったようですので、この新しい時流に乗れるよう、今までのデフレ経済に成れた「じっと我慢」する体質を改め、インフレの時代の変化に追いつかなくてはならないようです。
しかし、高齢化して廃業をする小規模事業者が増えていくと、そこにいた従業員が中小企業等に新たな職を得て活躍できるかが心配です。リスキリングを政府が後押ししない限り、中高年の失業者が路頭に迷うことになります。
コロナ禍の後の社会がまだ具体的に見えてきていません。また、長いデフレ経済からインフレ経済へと言っても、それを経験したことのある方々は、すでに高齢化しています。かつての様に国民経済と世界経済が分かれて議論されていた時とは違います。
経済環境も、温暖化などの環境課題も、地球規模で一体化しています。その中で、日本経済が、再び元気になって再生されるのかは未知数ですが、少なくとも、多くの小規模事業者にとっては、「挑戦意欲のある企業」であるかが問われることになりそうです。