認定支援機関 行政書士たいぞう事務所の小堀大藏です。
あなたの事業が成功するために何か役に立つ情報をできるだけわかりやすくお伝えしようと考え、このブログを書いています。
今日は、2023/09/25の記者会見で、岸田首相が表明した経済政策を受けて、よく26日に行われた経済財政諮問会議(令和5年第12回)について、その審議の大枠を理解しておきたいと思い、取り上げます。原文は、内閣府のHPに掲載されています。
まず、諮問会議の位置づけについて
「諮問会議は、経済環境変化を適切に予測しつつ、中長期に渡って目指すべき経済構造を議論し、それを実現させるための政策全体のあり方を構築する」とその位置づけを明確にしています。すなわち、「当面の課題に適切に対処しつつ、目指すべき大きな方向性を実現させる政策運営を行うべき」としています。
この諮問会議の「重点課題」は、「中長期的な課題への対応方針、目指すべきマクロ経済目標等を議論、明確化」することです。
また、その当面の「経済政策の在り方」は、以下の通り整理されています。
- 適度なインフレ経済への移行を実現させる経済運営の実行
- 社会課題の解決を成長に結び付けるメカニズムの具体化(鍵となる技術、市場、制度改革)
- 経済・財政一体改革を通じた歳出改革の徹底 が必要。
次に、経済財政諮問会議が取り組む「年度後半の具体的な取組み」以下の様に列挙しています。
- 2020年代の後半に持続可能な経済社会システムの構築を目指し、来年にかけて議論を行い、対応方針を明らかにする。
- 中長期の展望をより充実させ、来年夏の骨太方針において、今後3~5年程度の経済財政運営の中期計画を決定する。
- 経済・財政一体改革の成果・課題について、財政金融政策と規制改革の適切な連携の具体化、政策効果についてのエビデンスの明確化を行う。
- マクロ経済戦略の方向性について、考え方を国民に示す。 …しっかり説明する。
さらに、新たな経済対策に向けて ~短期と中長期のマクロ経済戦略~(資料4)では、「今回の経済対策はその突破口とすべき」と位置付けています。
(当面の課題に対応した短期的効果)
- 賃上げモメンタムの中小・小規模事業者、地域経済への波及を支援し、来年度以降も賃金上昇を促進。
- 本来、人手不足は賃金引き上げと省人化投資の契機となるべき。…供給力強化、省人化投資・省力化投資の拡大による収益力の拡大。
- 光熱・燃料費の急騰抑制等の生活支援はきめ細かく対応し、…所得の海外流出を防止。
(中長期の効果を見据えて ~成長と分配の好循環により、適度な物価上昇を上回る賃金上昇へ~)
- 賃上げモメンタムを持続性のあるものにするための、労働市場改革の前倒し実行、生産性を拡大させる国内投資の拡大。
- 社会課題解決に向けた投資を成長の源泉とする総合戦略。金融政策との間でプラスの相互作用が発揮されるための、財政運営、社会保障や税のあり方、規制改革等のあり方の戦略的な対応。
- 本格的な人口減少に備えたデジタル行財政改革、公的セクター改革による安定的な経済構造の実現に向けた対応。
- グローバル経済のリスクをできるだけ遮断しつつ、その活力を国内に取り入れるための、外国人材の活用を含めた総合戦略に向けた対応。
この政策の内容は、理解できましたでしょうか。短期に関しては、とても分かりやすいのですが、中長期に関しては、不明確ですし、同時に新たな産業の創出やユニコーンを育成するようなプログラムはなく、どちらかいというと「内向き」の姿勢は変わっていません。
本当に、岸田政権はこの重要な時期に、日本を再浮上させたと将来評価されるような政権となるのでしょうか?同時に「財政」の将来像は示されていません。今の私たちの世代だけが得するような制度設計では、若者が日本に魅力を感じなくなってしまうかもしれません。