こんにちは、
融資コンサルタントの小堀大藏です。
あなたの事業が成功するよう祈って、このブログを書いています。
東京の感染者数が50名前後まで動き出しました。緊急事態宣言が解除されてから2週間、データは正直なのかもしれません。ここからさらに1~2週間で、新たな対応になるのか、このまま順調に経済再開に進んでいけるのかがわかることでしょう。皆さん、大丈夫ですか?!
今日のテーマは、「地域金融機関の“持続可能なビジネスモデル”構築 地域金融機関の課題と対応(令和元年事務年度)」です。
金融行政上の課題は、まず、地域金融機関の経営が悪化していることです。将来にわたる安定した収益と健全性が確保されなければ、地域金融機関の金融仲介機能などができず、地域経済に甚大な影響を及ぼすことになります。
余談ですが、今回のコロナの件は、まだどのように地方経済に影響を及ぼすのかは見えてきていません。ネットでは、困った生産者や販売業者による処分のようなセールが開かれており、なんとか食いつないでいる状況が続いているようです。
翻って、地域の企業については、長いデフレ経済から立ち直ろうとしてきましたが、円滑法以来、経営改善が進まず、事業再生も事業承継もままならない状況の企業が多く存在しているのが実態です。地域金融機関は、これらの企業を、地域のために資する企業に成長するよう、経営課題の解決や事業計画書の作成を通して、信頼関係を構築していく必要があります。
地域金融機関は、今後の事業に必要な資金の適切な提供やアドバイス、あるいは経営人材の紹介などをして組織的、継続的な経営支援をすることで、互いに地域経済に貢献していくことが求められているのです。
しかし、昨年度を振り返ると、地域金融機関106行のうち52行が本業赤字、うち23行が5期連続赤字です。にわかに信じられない数字ですが、これが地方銀行の実態です。
金融庁が期待している「金融仲介機能の発揮」については、そのサービスの実態が企業側から評価されつつあるものの、融資のような実績には結びついておらず、事業性評価による審査、融資も徐々に実績ができつつあるに過ぎません。残念ながら、「金融仲介機能のベンチマーク」は、金融機関の社内では、経営に役立てられてはいないのが実態です。
このような経営をしていては、経営環境は厳しくなる一方です。「持続可能なビジネスモデル構築」のために、金融庁は、金融機関側との双方が「気づき」を得るため、いろいろな形で対話の実践もしてきました。また、対話の質の向上のために企業側での要望や不満、問題点の提起などの情報・知見の蓄積もして、金融機関側に提供してきました。しかし、実態はイマイチなのです。
本業の利益が得られないことから、有価証券の運用を強化した地域金融機関もありますが、有価証券運用モニタリングの結果は、芳しいものではありません。なお、抜本的な監督指針の改定を行い、早期警戒制度の見直ししました。
金融庁は、今年度も「金融育成庁」と文書な中で書いていますが、まさに、地域経済を担う地域金融機関がしっかりしていないので、頭を痛めているというのが実態ではないでしょうか。
本年度の方針として最初にあげたのが、持続可能なビジネスモデルに関する探究型対話の実践で、業界団体や、地域企業との対話も、そして、監督官庁であることを気にしないで、フラットの会話をしてとにかく地域金融機関の「再生」を望んでいるようです。
そのために金融庁の若手の官僚の有志で立ち上げた「地域課題解決支援チーム」を進化させ「支援室」として、地域の課題解決と地域経済エコシステムを推進していくとのことです。
新たな問題に取り組むに当たり、金融機関のガバナンス機能の向上に向けた対応を求めるとともに、有価証券運用モニタリングを実施し、問題発生を事前に察知しようとしています。また、早期警戒制度の運用を強化して、まさに持続可能な収益や健全性を確保していくとの方針です。
なお、銀行勘定の金利リスクにかかるモニタリングの運用や地域金融機関による中堅・中小企業への海外展開支援に関する対応についても触れられています。
金融庁も大変なようです。同時に地域金融機関も、信用金庫も信用組合も本来の地域金融機関としての金融仲介機能と地域経済への貢献をもう一度会社の再生のために頑張らなければ、本業だけでは生き残ることはできません。
このコロナの影響は、地域金融機関等にどのような影響を及ぼすのでしょうか?そして、周り巡って地元中小企業、小規模事業者にはどのような営業があるのでしょうか。大きな企業だけが残って、小規模事業者が活躍できなくなるような街を作りたくないですね。
来週は、金融検査マニュアルの廃止後に向けてのレポートの中身を説明します。