こんにちは
認定支援機関 行政書士たいぞう事務所 融資コンサルタントの小堀大藏です。
あなたの事業が成功するよう祈って、このブログを書いています。
先週は、ロシアのウクライナ侵攻から約3カ月が過ぎ、世界の食糧危機が懸念されていることを取り上げました。今週は、この状況を踏まえた今後1~2年の経済見通しがIMF及び国内のシンクタンクから発表されましたので、サワリだけですがお伝えします。
今日は、IMFの「世界経済見通し(2022年4月)」を取り上げます。その「要旨」から順に内容を紹介します。
まず、大前提として、IMFは、「ウクライナでの戦争」を取り上げ、「多大な代償を伴う人道危機…経済損失は、2022年に世界の経済成長が大幅に減速する一因となる」としています。
そして、「成長が鈍化する一方で、物価上昇は加速」「燃料と食糧の価格が急上昇」によって、「低所得国 を中心に弱い立場の者が一番大きな影響を受けている」と指摘しています。
次に経済見通しですが、「世界経済成長率」は、「2021年の推計6.1%から減速して、2022年と2023年は3.6%で推移する見込み」だ。「2023年よりも先は、世界経済の成長率が中期的に約3.3%の水準まで低下すると予測」されています。
しかし、「今回の見通しを取り巻く不確実性は異例の高さで、世界経済成長率が下振れするリスクが支配的」としています。種々のリスクにより「食糧価格とエネルギー価格」の高騰を招き、世界各国の「社会に緊張が生じる可能性が高まっている」として、これからの「見通しを一層暗くする要因」であるとしています。
また、「物価上昇率」は、「先進国で5.7%、新興市場国および発展途上国で8.7%となる予測」で、「上方改定」しています。しかし、同時に「この予測についても不確実性が大きい」とし、新興国では、金利の上昇により「債務脆弱性があらわになるだろう」ともしています。
「ウクライナでの戦争はふたつの両立困難な政策の バランスを悪化させた。インフレ対策と景気回復確保との間、また、脆弱層支援と財政バッファー再構築との間で、トレードオフがさらに困難なものになったのだ」と警鐘を鳴らしています。
「インフレ対策」については、「価格圧力がますます広範囲で見られるようになっている」。「ロシアによるウクライナ侵攻以前から、強力な政策支援を受けインフレ圧力が大幅に高まり、より広い範囲に及ぶようになっていた」と指摘しています。
「インフレ期待が物価を押し上げるサイクルを抑制するには、金融引締め政策が適切である」としながら、「史上最大規模に膨れ上がった中央銀行のバランスシートの縮小や政策金利の推移に関して」金融政策の変更に関する情報伝達を十分にする必要があることを指摘起しています。
最後に、「金利が上昇し、生活コストの締め付けが厳しくなる中での財政政策」については、「コロナ禍の間、必要となった非常に大規模な財政拡大が多くの国で実施され、…債務水準が諸国で史上最高水準に達しており、政府が金利上昇の危険にかつてないほどさらされている」と認識したうえで、「財政健全化が必要であっても、難民や、商品価格高騰によって困窮している人々、コロナ禍の悪影響を受けた人々など脆弱層に対する、対象を絞った支援を伴う歳出を政府が優先することが妨げられてはならない」ともしています。国際機関ならではの要請です。
そのうえで、「明日の経済に備える」として、「政策担当者がより長期的な目標を見失わないように」とくぎを刺し、「各国政府は、デジタル変革を積極的に追求したり、それにあたり職業能力の再開発や再教育を実施したりするなど、可能な分野で望ましい構造的変化を活かすことを検討すべき」としました。
もはや、国際協調を本当にできるのか、再び冷戦になり、世界が分断され、暗い戦争の罠に落込んでいくのか、日本の手腕も問われるのかもしれません。