こんにちは
認定支援機関 行政書士たいぞう事務所 融資コンサルタントの小堀大藏です。
あなたの事業が成功するよう祈って、このブログを書いています。
今週は、5月31日に公表された「新しい資本主義の グランドデザイン及び実行計画」を取り上げます。6月7日には、「骨太方針」と共に閣議決定される予定です。
最近よく聞く「新しい資本主義」という言葉ですが、今日は、「その全体像と考え方」について紹介します。思ったほどシンクタンクの関心が薄く、参考になる論文が少ないので、計画(案)を中心に説明します。
最初の章では、「資本主義のバージョンアップに向けて」として、「市場の失敗の是正と普遍的価値の擁護」を上げています。
アベノミクスが掲げていた「新自由主義は、成長の原動力の役割を果たした」が、「経済的格差の拡大、気候変動問題の深刻化、過度な海外依存による経済安全保障リスクの増大、人口集中による都市問題の顕在化、市場の失敗等による多 くの弊害も生んだ」と総括しています。
また、「新型コロナウイルス感染症の感染拡大」では、中国に「依存するサプライチェーン」「ロシアによるウクライナ侵攻」では、「国際経済における地政学的リスクの存在や権威主義的国家による挑戦も顕在化させている」と指摘しています。
「新しい資本主義」を「資本主義の歴史上、3回目の大きな転換の契機であり、…資本主義の第4ステージに向けた改革」と位置付けています。
また、「これまでの転換が、「市場か国か」、「官か民か」」であったが、「新たな官民連携によって、その解決を目指していく」としています。「人的資本蓄積・先端技術開発・スタートアップ育成という、市場だけでは進みにくい分野に対して、重点的に官民が連携し、大規模に実行を進める必要がある」とその方向性を示しています。
さらに「経済安全保障の徹底」も「エネルギーや食料を含めた 経済安全保障を強化」することを「新しい資本主義の前提」ともしています。結果的に、新たな組織も創設され、経済安全保障を司り、「国見生活 における安全・安心の確保を図る」としています。
第2章では、「新しい資本主義を実現する上での考え方」を次の3点に要約して提示しています。
一つ目は、「分配の目詰まりを解消し、更なる成長を実現」です。
「成長の果実が適切に分配され、それが次の成長への投資に回らなければ、更なる成長は生まれない。」として、分配の「目詰まり」が存在し、「次なる成長を阻害している」と断じています。
二つ目は、「技術革新に併せた官民連携で成長力を確保」です。
「AI・量子等のデジタル技術、クリーンエネルギー・マテリアル技術、バイオテクノロジーの分野でのイノベーションは」、…「研究開発投資や設備投資は諸外国に大きく遅れをとっている」と分析し、…「創造的なイノベーションと経済成長は、人の力が最大限発揮されることによってもたらされる。女性、若者、高齢者等が、それぞれの能力と経験を生かして活躍できる社会を実現するとともに、人への惜しみない投資により、一人ひとりのスキルを不断にアップデートしていくことが重要である。」と人への投資を謳っています。
最後の三つめは、「民間も公的役割を担う社会を実現」です。
「民間が主体的に課題解決に取り組める社会を目指す必要がある」として、「既存企業のみならず、スタートアップ、社会的起業家、大学やNPO等、多様化していくことが不可欠」としています。「民間の力が最大限発揮できる よう、新しい時代にふさわしい公正な競争を確保する競争政策を推進していくこと が重要である。」ともしています。
総論としては、従来のテンポやスピード感では、他の先進国に追いつくことさえできそうにありません。同時に、たくさんの予算がいろいろな事業に振り分けられ、アップアップになっているようにも見えます。
「このままでは、先進国として後れを取ることになりそうなので、「官主導」で、ステークホルダー資本主義を軌道に乗せる」これが、岸田総理の「新しい資本主義の正体」なのかもしれません。
明日は、一歩進んで、「人への投資と分配」です。