こんにちは
認定支援機関 行政書士たいぞう事務所 融資コンサルタントの小堀大藏です。
あなたの事業が成功するよう祈って、このブログを書いています。
今週は、5月31日に公表された「新しい資本主義の グランドデザイン及び実行計画」を取り上げています。この計画は、6月7日、「骨太方針」と共に閣議決定されました。
今日は、「その3」として「GX(グリーン・トランスフォーメーション)及びDX(デジタル・トランス フォーメーション)への投資」を紹介します。ほとんど羅列になりますが、全体像をお伝えしたいので、お許しください。
まず「GXへの投資(グリーン・トランスフォーメーション)」ですが、その目的として、「気候変動問題」を掲げ、「新しい資本主義の実現によって克服すべき最大の課題」と定義したうえで、「2050年カーボンニュートラルに向け、経済社会全体の大変革に取り組む」としています。また、「本年内に、今後10年のロードマップを取りまとめる」ともしています。
また、「新たな政策イニシアティブ」として、「国際公約達成と、我が国の産業競争力強化・経済成長の同時実現に向けて、今後10年間に官民協調で150兆円規模のグリーン・トランスフォーメーション(GX)投資を実現する(現状比で3倍増以上…)」と具体的数値目標を掲げています。
その実現のために、「新たな5つの政策イニシアティブを盛り込む」とし、以下の5項目を上げています。
ⅰ)GX経済移行債(仮称)の創設
「成長志向型カーボンプライシング構想」を具体化するために、150兆円超の官民の投資を先導するために十分な規模の政府資金を、将来の財源の裏付けをもった「GX経済移行債(仮称)」により先行して調達」する。 (新しい形の「国債発行」のようです)
ⅱ)規制・支援一体型投資促進策
「省エネ基準の強化等の規制的手法の活用や、水素・アンモニア等の新たなエネルギーや脱炭素電源の導入拡大に際し、事業の収益性や投資の予見可能性を高める新たな制度的枠組みを創設する」
ⅲ)GXリーグの段階的発展・活用
GXリーグ(GXに積極的に取り組む「企業群」が、官・学・金でGXに向けた挑戦を行うプレイヤーと共に、一体として経済社会システム全体の変革のための議論と新たな市場の創造のための実践を行う場)は、約440社(我が国のCO2排出量の4割以上)の賛同を得た。本年度中に試行を開始予定。
ⅳ)新たな金融手法の活用
「国による大規模かつ中期・戦略的な財政出動等を呼び水として、世界のESG資金を呼び込む。」
ⅴ)アジア・ゼロエミッション共同体構想など国際展開戦略
「アジア諸国の脱炭素化を 進めるための協力体制を強化する」「先進国ともクリーンエネルギー分野のイノベーション協力を進める」。
次に、「具体的な取組例についても列挙しています。
- 水素・アンモニア
- 洋上風力等の再生可能エネルギー
- CCS(「Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage」の略、日本語では「二酸化炭素の回収や有効利用、貯留」)
- カーボンリサイクル(合成燃料、SAF(持続可能な航空機燃料)、合成メタン、コンクリート、バイオ ものづくり等のCO2の有効利用を可能とする技
- 住宅・建築物(2025年度までに住宅・建築物の省エネ基準への適合を義務化、…ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)・ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル) の水準の省エネ性能が確保されることを目指す)
- 省電力性能に優れた半導体)
- 蓄電池
- その他産業部門の脱炭素化
- 産業用ヒートポンプ
- 鉄鋼産業や化学産業の電化やガス転換等のエネルギー転換
- 次世代太陽電池
- 革新的地熱発電
- 革新原子炉(革新軽水炉、 小型炉、高温ガス炉、高速炉等)
- グリーンイノベーション基金の拡充
- ITER計画(「International Thermonuclear Experimental Reactor (国際熱核融合実験炉)」が「ITER」の語源、現在は「ITER」(イーターと読みます)が正式名称、核融合研究開発 )
- 地域・くらしの脱炭素化)
「人材育成、財政支援等による地域の脱炭素トランジションへの投資を含む地域脱炭素加速化、ポイント制度等による消費者意識・行動変容、中小企業対策、森林吸収源対策、資源自律、循環経済移行等を進める」。
さて、DX(デジタル・トランス フォーメーション)への投資はいかがでしょうか?
「DXは新しい付加価値を生み出す源泉であり社会的課題を解決する鍵」としたうえで、以下のような9項目の研究開発や投資を行うとしています。
①ポスト5G、6G(現在の100倍の通信速度と100分の1の 超低消費電力を実現する技術)の実現に向けた研究開発
②デジタル市場の環境整備
③クレジットカードのインターチェンジフィー(加盟店が決済会社に支払う手数料)を透明化
④デジタルヘルスの普及 (承認アプリを活用した際の診療報酬上の加算)
⑤マイナンバーカードの普及 (健康保険証・運転免許証との一体化、スマートフォンへの機能搭載等)
⑥中小企業等のDX(経営課題診断ツール、専門家による伴走支援、IT導入に対する支援)
⑦医療のDX(全国医療情報プラットフォームの創設「医療DX推進本部(仮称)」を設置)
⑧建築・都市のDX(建築物の形状等の3次元データ(BIM:Building Information Modeling)、都市空間3次元モデル(PLATEAU)、土地や建物の「不動産ID」の活用促進。
⑨サイバーセキュリティ (中小企業のセキュリティシステムの導入助成、サプライチェーン全体で サイバーセキュリティを強化。IoT機器のサイバーセキュリティ対策支援。サイバー攻撃対策やシステムの脆弱性の分析能力を国が主導して強化)