認定支援機関 行政書士たいぞう事務所の小堀大藏です。
あなたの事業が成功するために何か役に立つ情報をできるだけわかりやすくお伝えしようと考え、このブログを書いています。
先週は、身近に迫っている「デジタルによる変化」を理解していただきました。デジタルが国民を豊かにさせているものの、多くの企業がその本来の活用ができていないことが分かりました。
今週は、改めて、「このままで日本はよいのか」といった論調のコラムやレポートがありましたので、ご紹介します。(21日は祝日ですので、お休みとします)
さて、今日は、大和総研の2023年3月6日のホームページの「コラム」に掲載された「失われた30年は終わるか」(リサーチ本部 執行役員 リサーチ担当 兼 政策調査部長 鈴木 準氏)の投稿です。
書き出しは、「「失われた30年」という言葉を耳にすることが、最近改めて増えたように感じる。」とした上で、現下の主要な課題は、まさに「失われた30年」の間に積み上げられてきたのではないか指摘しています。
「30年前…1993年といえば、資産バブルが崩壊してから数年たった年だが、…地価や株価は、ほどなく元に戻ると考えられていた最後の頃である。」とした上で、「その後…民間法人企業が保有する土地の時価総額は、1990年のピークから底打ちした2013年までの間に約440兆円減ったとみられる。」と、企業が巨額の資産価値を失ったことを指摘しています。
その後、企業側は「長期にわたる負債の圧縮と内部調達資金の確保、設備投資の抑制に邁進することになった。」と振り返ります。
また、「日銀総裁候補となった植田和男教授は国会での所信聴取の際」、「1990年代の資産価格の大幅な下落や不良債権処理にもたついたことによる金融仲介機能の低下を挙げている。」と指摘し、「時価ベースでみた自己資本比率を試算すると、1998年末の45%から2010年代半ばにかけて65%程度まで上昇し、その後は直近まで高止まりが続いている。」と投資ができていないことを分析しています。
「多少のレバレッジを効かせて生産のための資産を拡大させる動きがないことが「失われた30年」の重要な一因だろう。」としています。
すなわち、バブル崩壊とその後の金融仲介機能の機能不全が、企業の内向きな姿勢と挑戦をしない行動を起こし、世界と戦っていくスピリッツとパワーがなくしてしまったのではないかといったニュアンスの説明です。
また、少し皮肉にも聞こえますが、「足下で、金融政策の正常化や金利上昇を見通す議論が増えているが、賃金や物価に関するノルム(規範・通念・習慣)がたちまち変わるとも思えない。」と指摘し、少々の金利高は、インフレ高止まりで相殺される可能性があるとも指摘しています。
今しっかりと考えるべきは、「需要が収縮してインフレ率が低下してしまわないうちに、正当な価格転嫁と賃上げが進められ、陳腐化した資本ストックの再構築と人的資本の増強が行われるかどうか。」であるとしたうえで、「それが日本経済にとっての分水嶺になる。」と断じておられます。
本当にその通りだと同感します。