認定支援機関 行政書士たいぞう事務所の小堀大藏です。
あなたの事業が成功するために何か役に立つ情報をできるだけわかりやすくお伝えしようと考え、このブログを書いています。
この1週間、将来の生産性向上を期待させるChat-GPTが大きな反響を受けています。この新しい技術について解説する立場にはありませんが、経済界の識者の反応がありますので、いくつかのコラム等をご紹介します。
今週は、5社のコラム等に発表されたChat-GPTに関する識者の評価等をご紹介します。この手の「要約」「比較」などはChat-GPTの得意な分野のようですので、私も気がかりです。
今日は、『野村證券金融経済研究所 経済金融コラム 2023.04.11』 許斐 潤氏の「AIを使いこなしてアナリストを解放したい」を紹介します。
許斐 潤氏は、著名な「証券アナリスト」ですが、「業務に携わってから2023年4月で39年目」だといいます。
「調査対象の産業・企業を巡る環境は目まぐるしく変化を続けてきた。しかし、アナリスト業務の基本動作はあまり変わってこなかった」…「資料調査・分析、仮説設定、取材を通じた仮説検証、レポート作成、顧客(投資家)とのコミュニケーション、決算の洗礼、新たな分析、仮説の修正…の繰り返しである。」と証券調査の内容を紹介しています。
「特にこの20年ばかりはアナリスト間の競争激化、顧客数の拡大、ニーズの多様化などもあって、アナリストは超多忙を極める。」とした上で、「筆者も管理職時代には、何とかアナリスト業務の効率化、負担軽減を図ろうとしてきた。情報技術を活用した一部業務の自動化も試みたが、当時の技術では高度化する機関投資家の要請に応えられるようなことは出来なかった。」と就業環境が厳しい状態であることも指摘しています。
そのうえで、「是非、AIをアナリストの負担軽減と心身の健康に役立てたい。」と前向きな意見をお持ちのようです。
「しかし、いくら省力化といってもレポート執筆をChat-GPTに丸投げするようでは自分で自分の首を絞めるようなものである」と釘を刺しています。「Chat-GPTを有能なアシスタント、意見構築のコーチ、理論を研ぎ澄ますための壁打ちの相手として使えるような仕組みが作れたら、アナリストの生産性は大いに向上すると期待できる。」とその適切な活用と将来性を指摘しています。
また、Chat-GPTに「Chat-GPTをアナリスト業務に活用する利点と欠点」を聞いてみた結果、その回答は、利点としては、
(1)情報収集(膨大な情報を瞬時に収集)
(2)情報の整理と分析
(3)分析・予測精度の向上
欠点は、
(4)トレーニングされたデータに基づく予想しかできない
(5)機密情報リスク
(6)信頼性の問題
「他の一部専門職と同様にAIがアナリストにとって代わる、アナリストが職を奪われてしまうという懸念もあり得る話ではある。しかし、(6)のリスク対応で企業分析・評価に関する知識や業界知見を持った専門職は必要である。」と単純な雇用問題への警鐘には組する意思はないようです。
また、「アナリストは誰もが理論的に考えれば普通に辿り着くような共通理解を持っているわけではなく、根拠を持ったアウト・オブ・コンセンサスで勝負しているので、インターネット上に存在している真っ当な情報を集約しても競争力のあるアナリストにはなり得ないのではないか」とアナリストのあるべき姿を主張してます。
(4)~(6)のリスクを制御して、「(1)~(3)のメリットを生かせるなら、是非、AIをアナリストの負担軽減と心身の健康に役立てたい。…アナリストの生産性は大いに向上すると期待できる。」というのが許斐氏の結論のようです。
この技術は、次の産業革命なのかもしれません。「生産性の低下」や「賃金の低迷」が言われる日本にとって、大きなチャンスなのかもしれません。もっともっと大きな資金を投入して、新しい時代に投資をする決断を6月の骨太方針に示して欲しいものです。