認定支援機関 行政書士たいぞう事務所の小堀大藏です。
あなたの事業が成功するために何か役に立つ情報をできるだけわかりやすくお伝えしようと考え、このブログを書いています。
今週は、以前から言われている「日本の競争力がなくなった」「賃金が上がらず、物価も上がらず」といった現況を解説してくれる簡単なレポートがありましたのでご紹介します。
みずほリサーチ&テクノロジーズのエグゼクティブエコノミストである門間一夫氏が書かれている「門間一夫の経済深読み」2023.05.23です。
今日は、2013年の日銀の「異次元の金融緩和」と円安を取り上げ、「本当は「技術」や「知恵」で稼ぎたい」を取り上げます。
最初に「旅行収支」を取り上げ、「ここ10年で大きな改善がみられ、日本は赤字国から黒字国に転換したと言える(図表5)。」と説明している。
「その一方で、通信・コンピューター・情報サービスや研究開発・コンサルなど、いわゆる知識集約型産業の収支は赤字の拡大傾向が続く。そのため、サービス収支全体はあまり改善していない。」と評価しています。
そのうえで、「モノづくりでも知識集約型のサービスでも競争力を失った日本の姿…それこそが今や構造的とも言うべき円安の背景であり、過去10年で日本の成長率が一段と低下したこととも整合的である」と分析しています。
「唯一の慰めは、円安で「安くなったニッポン」にインバウンド客」と揶揄したうえで、「日本は観光立国を目指すべきという考え方に異論を差し挟むつもりはない。」とながらも、「「技術」や「知恵」ではもう勝てないから「おもてなし」を強みにしようという流れなのだとしたら、それは少し哀しい話である。」と批判している。
「この10年の円安は、日本経済の地力が落ちたことへの警告と受け止めるべきだろう。」とその現実の厳しさを真剣に受け止めることを主張されている。
「グローバル展開も含めた企業経営の地力が落ちているわけではないが、「日本の国境内」で稼ぐ力は確実に劣化している。」すなわち、日本企業が劣化したのではなく、日本国内の経済が立ち行かなくなっているという指摘です。
国民が痩せ、企業が豊かになっている。日本国内の投資が控えられている中、海外での日本企業の投資は継続している。その結果、貧しい日本と、日本国内の国民が生まれていると指摘されているのです。
日銀出身の門間さんは、「物価や名目賃金の上昇、金融政策の正常化などで、この問題を変えることはできない。」とした上で、「産業の競力を取り戻し、知的生産の面でもグローバルな存在感を高めていくことを、国のビジョンとして優先度の高い位置に掲げるべきではないだろうか。」と政策への注文を付けておられます。
最後に「それが成功して「高いニッポン」がもし復活したら、それでも来てくれるインバウンド客には最高のおもてなしをしたい。」と結んでいます。
ここにきて、経済安全保障の観点や、台湾の地政学的なリスクの高まりにより、日本国内に大きな投資が始まりました。国内の超大手の企業と連携した動きです。また、韓国との関係改善により、サムソンが日本に開発拠点を置くことも決まったようです。これらの、大きな流れが、日本国内に「高いニッポン」を定着させることを期待しています。