認定支援機関 行政書士たいぞう事務所の小堀大藏です。
あなたの事業が成功するために何か役に立つ情報をできるだけわかりやすくお伝えしようと考え、このブログを書いています。
今週は、1~3月の中小企業に関する動向調査が発表されましたので、その中の4つの調査結果と、1つの特別調査を紹介します。
今日は、日本政策金融公庫の『特別調査 新型ウィルス感染症の影響、ゼロゼロ融資の返済状況と資金繰り等について』(2023.04.27)です。
まず、「新型コロナウイルス感染症の影響については、「現在影響あり」と回答した企業は66.3%。…一方、「現在影響なし(今後、影響が出る可能性は低い)」と回答した企業は24.5%と、…20年4~6月期以降、最も割合が高くなっている。」また、「業種別にみると、全ての業種で「現在影響あり」と回答した企業が前期と比べて低下…している。」と報告しています。
次に、「ゼロゼロ融資の返済状況について」ですが、「「現在利用中」と回答した企業が78.9%、「現在利用していない」と回答した企業は21.1%となっている。」としています。「また、従業員規模別でみると、従業員規模が小さくなるほど、「現在利用中(元金返済中)」の割合が高くなっている。」とも分析しています。
添付されていた一グラフを一部切り取り加工しました(小堀)
ゼロゼロ融資利用中の企業の返済見通しについては、「融資条件どおり全額返済予定」と回答した企業が77.2%、「手元資金で期限前返済予定」と回答した企業は7.8%…」であるが、リスケを希望する会社やすでにリスケ中の会社は8.0%、1.6%と指摘しています。
さて、このような企業の現況に対して、今回は「資金繰り表の作成状況等について」の調査を行っています。
- 資金繰り表の作成の有無
全体では、「作成している」が46.8%であり、従業5人以下では34.0% と規模による違いがはっきり出ています。
また「資金繰り表の作成にあたり苦労した点」については、「「売上の増減や収支の見通し」が46.5%…、次いで「売上や収支の実績の把握」(34.7%)の順」と報告しています。
【資金繰り表の作成状況等について】
- 資金繰り表作成にあたっての支援先は、「支援を受けずに作成」が62.4%…、次いで「顧問税理士」(30.2%)と指摘しています。
資金繰り表作成のメリットとしては、以下のグラフの様に、「いつ、いくら必要か一目でわかる」と「将来の資金不足を防ぎ、経営の安全性を高めることができる」の2項目が実感として理解をしているようです。
しかしながら、資金繰り表の作成していない実態も多くあります。
- 資金繰り表を作成していない背景・理由
その理由としては、「売上や収支の予測が難しい」が32.4%であり、その他の項目には、いつもの言い訳が並んでいるが、いずれも20%前後の状況です。
- 資金繰り表を作成していない企業における、今後の資金繰り表作成の意向
正直なところ、作成していない企業の今後はないというべきです。
「作成したい」及び「適切なアドバイスがあれば作成したい」と回答した企業が合わせて48.6%となっている。
この「作成したい」及び「適切なアドバイスがあれば作成したい」と回答した企業の作成していない理由は、「どのように作成したらよいかわからない」(32.9%)、「売上や収支の予測が難しい」(30.8%)となっているので、手を差し伸べて、あるいは、自分で専門家の指導を要請して対応することが求められていると推測されます。
これからのアフターコロナで、経営者保証のない融資が始まると、経営者の個人保証をとれば融資を実行できる、社長の個人資産があるので、OKといった過去の対応は許されなくなります。個人保証が必要である場合は、しっかり審査をして、必要である理由をお客様に説明して、納得をいただいての融資となります。リスクが初めからある得意先との位置づけになります。
もしかしたら、金融機関にとっても、企業にとっても、「経営者保証のない融資」は、「厳しい制度改正」なのかもしれません。
この改正に沿って、経営者は自分で資金繰り表を作り、金融機関の担当者は、企業の定性、定量の分析と共に、資金面から企業を支援する「本来の金融」の姿勢を取り戻し、やがて、戦後の様に将来性のあるユニコーンを見つけ、育てて、強い日本の企業を支えることになるのかもしれません。