認定支援機関 行政書士たいぞう事務所の小堀大藏です。
あなたの事業が成功するために何か役に立つ情報をできるだけわかりやすくお伝えしようと考え、このブログを書いています。
今週は、それを受けて、最新の中小企業の実態はどうなっているのかを「中小企業景況調査」等の調査結果を確認しながら、実態を紹介しています。
今日は、日本公庫の動向調査と同じ時期の調査であすが、信金中央金庫 地域・中小企業研究所の「中小企業景況レポート No.190 2022.10~12 月期」を取り上げます。また、この調査では、同時に特別調査として、【特別調査-2023年(令和5年)の経営見通し】を実施しています。
「この調査レポートは、信用金庫が全国約16,000の中小企業の2022年10~12月期の景気の現状と2023年1~3月期の見通しを調査したものです。」したがって、小規模の事業者が多い調査です。
概況としては、「2022年10~12月期(今期)の業況判断D.I.は△10.8、前期比7.0ポイント改善し、コロナ前の水準近くまで回復した。」としています。
他の日本公庫の調査DIの内容を比較するのはあまり意味がないので、概況のいうように「コロナ前の水準近くまで回復」した後の【特別調査-2023年(令和5年)の経営見通し】を確認します。
まず、2023年の「景気見通しは低下」です。
「2023年の我が国の景気見通しについては、「良い」…と回答する割合が8.7%、「悪い」…が66.6%となった。この結果、「良い-悪い」は△57.9と、1年前の調査(△43.0)と比べて14.9ポイントの低下となった。…地域別では、北海道、東北、九州北部などで、全国(△57.9)を下回っている。また、従業員規模別にみると、従業員4人以下の階層で弱気の見通しが目立った。業種別では、小売業で比較的弱気の見通しとなった。」と報告されています。
次に、「業況見通しは小幅低下」です。
「2023年の自社の業況見通しについては、「良い-悪い」が△32.4となり、1年前の調査(△27.1)に比べて5.3ポイントの小幅低下となった。…コロナ前の水準を下回った。地域別では、近畿、北陸、関東で比較的強気の見通しとなった。また、従業員規模別では、…従業員4人以下の階層で弱気の見通しが目立った。業種別では、不動産業で強気の見通しとなった。」と報告されています。
売上高見通しは、「来年度売上は2年連続でプラスの見通し」です。
「2023年の自社の売上額見通し(伸び率)…5.0となった。1年前の調査(7.6)から小幅に低下したものの、2年連続で増加が減少を上回った。地域別では、北海道、東北、首都圏でマイナス、残り8地域でプラスの見通しとなっている。 従業員規模別では、4人以下を除くすべての階層でプラスとなった。また、総じて規模が大きいほど強気の傾向がみられた。業種別では、小売業を除くすべての業種でプラスとなった。」としています。
また、「目先の業況上向き期待は後退」したと報告されています。
「自社の業況が上向く転換点については、「すでに上向き…」、「6か月以内…」、「1年後…」がいずれも減少し、目先の業況が上向くとの期待は後退した。」「一方、「業況改善の見通しなし」は3.7ポイント上昇の21.9%となった。」と報告しています。
「従業員規模別にみると、従業員10人以上の階層では、軒並み「すでに上向き」が「業況改善の見通しなし」を上回っているものの、9人以下の階層では正反対の結果となっている。業況改善は、規模による二極化の様子が大きいといえる。」
業態と規模による大きな、溝が生まれ、小規模事業者が淘汰されていく予感があります。ここはしっかり理解しておく必要がありそうです。
今後の経営上のリスクとしては、「原材料・仕入価格のさらなる高騰を警戒」しています。
「2023年の自社にとっての経営リスクについては、」以下のとおりです。
- 原材料・仕入価格のさらなる高騰が79.3%
- 原油・天然ガス等のエネルギー価格高騰が40.9%
「仕入価格のさらなる高騰を警戒する中小企業の姿が浮き彫りとなっている。なお、「コロナなど感染症の感染再拡大」は31.3%となった。」としています。
今話題になっている「「コロナ融資の返済」は8.9%にとどまった。」とも報告しています。
「規模別にみると、規模の大きい企業では仕入価格の高騰、規模の小さい企業で取引先の廃業や健康問題、コロナ融資の返済などの選択肢が多い傾向がみられた。」とまとめられています。
この調査報告が、今の小規模事業者の実態に一番近いものに見えます。同時に、補助金や支給金によらない対応が始まっていますので、地域金融機関も選別をしながら、地域の企業を応援するしかないのかもしれません。