認定支援機関 行政書士たいぞう事務所の小堀大藏です。
あなたの事業が成功するために何か役に立つ情報をできるだけわかりやすくお伝えしようと考え、このブログを書いています。
今日は、日本総合研究所が財務省の財務総合政策研究所に2023,10,04に提出した報告書をご紹介します。
この報告で、藤波上席主任研究員は、最初に「少子化問題認識」のポイントがずれていると指摘しています。すなわち、「勘違い」「時代錯誤」「思い込み」にもとづく意見・政策が散見されるとのことです。
まず、「いま足元で何が起こっているのか?」として、「2016年以降、出生数急減」していることを指摘しています。その「減少率:2015年を境に、1.1%/年→3.7%/年」になっていることを報告しています。
この原因は、「婚姻率の低下ではない」と指摘しています。出生数変化の要因分析をした上で、その原因を「主要因は女性数の減少」「2016年以降は、有配偶出生率低下の影響大」であると分析しています。
あまり聞きなれない「有配偶者出生率」であるが、結婚をしていても、「結婚と出産は分けて考えている」と指摘しています。この傾向がこの5年程度のうちに女性で特に目立っているとも報告しています。
すなわち、女性が社会に進出した中で、非婚就業、あるいはDINKS(Double Income No Kids)が広がるとともに、男性の方はと言えば、「⼤卒男性正社員では、若い世代ほど低収⼊」となっていて、「男性正社員の希望⼦ども数低下」など、賃金の低下が出生に影響を及ぼしているとも指摘しています。
すなわち、結婚すること、子供をつくることが、今の政策や就業環境では難しくなり続けていると指摘しているのです。つまり、「いわゆる少子化対策・・・だけでは少子化は改善しない」というのが藤波氏の指摘です。
他国との比較や児童手当などの問題を指摘しながら、「少子化は、手遅れという声もあるが・・・2030年までがラストチャンス」とした上で、「1990年代生まれが出産の中心世代であるうちに、(現況では)出産の中心世代の比率が上昇傾向、年齢構成要因が出生数の押し上げ傾向に」なっていることから、今がラストチャンスだと提言しています。
すなわち、「少子化問題は経済問題という認識」を持つべきで、あるべき姿は「様々な障壁により結婚・出産を断念している層への配慮」であり、「若い世代の多様な選択を支える」ために、「経済的二極化の改善」「雇用面のジェンダーギャップ」を改善すべきだとしています。政府だけでなく、産業界の役割も重大であると指摘しています。
その上で、議論の中心に「なぜ少子化対策が必要なのか?」「社会保障の持続性、経済成長のため?・・・✕違う」そんな考えでは、「若い人の心に響かない」であろうし、「ヒトは、国のために子どもを作るのではない」とも指摘しています。
一部の保守系の国会議員の勘違いや時代錯誤の結果、この国の若者の生活や子供たちのいない社会に追い込んでいるのだとも思います。先日の埼玉県の自民党からの子供見守り条例(案)などは、全く実態を知ろうともしない前時代的な政治家の悪事としか言いようはありません。「情けない」と思います。
この報告書の目的には「児童手当の引き上げ」があったようですが、藤波氏は、経済・雇用環境の改善やジェンダーギャップの解消、子育ての社会化、それを支援する企業の取組みが奨励され優位となる社会づくりに触れています。
これなら、今からでも改善出来るかもしれません。そのためには、人手不足の中で賃金を上げるとともに、安心して子供育てられるよう所得配分を見直すべきかもしれません。私も来年には古希になりますが、現役世代に少しでも役立つよう、仕事も、健康も維持したいものだと思います。