こんにちは
認定支援機関 行政書士たいぞう事務所 融資コンサルタントの小堀大藏です。
あなたの事業が成功するよう祈って、このブログを書いています。
先週、11月1日付で「金融機関向けの総合的な監督指針」の改定案が公表されました。ここでは、中小・地域金融機関向けのものを参照しながらご案内します。
今日は、「本編Ⅱ 銀行監督上評価項目、Ⅱ-10 「経営者保証に関するガイドライン」の融資慣行としての浸透・定着等 その2 監督手法・対応」です。
さて、ここまでは、金融機関側への要求事項でしたが、きょうは、金融庁の監督の内容です。
本文では、「主債務者、保証人及び対象債権者がガイドラインに基づく対応に誠実に協力することによって継続的かつ良好な信頼関係が構築・強化されるとともに、各ライフステージにおける中小企業や創業を志す者の取組意欲の増進が図られ、ひいては中小企業金融の実務の円滑化を通じて中小企業等の活力が一層引き出され、日本経済の活性化に資するよう、金融機関等による積極的な活用を通じて、本ガイドラインが融資慣行として浸透・定着していくことが重要」との政策趣旨に鑑み、適切に取り組む必要がある。」としています。
現行規定では、「こうした取組態勢や取組状況を踏まえ、監督上の対応を検討」としていますが、改正案では、「こうした取組態勢や取組状況を踏まえ、各種ヒアリングの機会等を通じ、ガイドラインを融資慣行として浸透・定着させるための取組方針等を公表するよう金融機関に促していく。」という文言が挿入されています。
このような監督上の対応は、中小地域金融機関の収益を圧迫し、対応ができる金融機関が生き残り、場合によっては、地方銀行を含めた地域金融機関の合併等に拍車をかけることになるのかもしれません。
平行して、経産省は「地域⾦融機関との連携プログラム2022」を実施しており、「不確実性を増す経営環境において、地域企業が環境の変化に対応できる⾃⼰変⾰⼒を⾼かめ、持続可能なビジネスモデルに変⾰していくことが重要(経営⼒再構築)」として、金融機関側に成長する地域の中核企業の後押しをするよう地域金融機関との連携を模索しています。
さらに、中小企業庁の中小企業政策審議会金融小委員会では、「経営者保証解除に積極的な金融機関の取組」や「信用補完制度を活用した経営者保証改革」の検討を行っており、従来の信用保証だけでなく信用保険制度の活用などについても論議されています。
いずれにしても、コロナのゼロゼロ融資の返済が約62%の企業ですでに始まっており、来年7月にはほとんどの企業の返済が始まります。しかし、インフレと人材不足により、その返済まで手が回らない中小企業が大多数です。
同時に、その地域企業を支えるべき地域金融機関は、その対応に追われることになります。今週見てきたように、経営者保証がない、担保もない、融資をどのように取り扱うのか、そのために経営計画書を作成し、金融機関と共に考え行動できる経営者はごくわずかです。
この4月にでた、「早期経営改善計画策定支援事業」などを前提に、一方で伸びしろのある企業は直接金融機関が担当し、他方、トリアージの上、救うべき企業は、第三者の認定支援機関等と連携して、経営計画の作成を支援させ、さらに長丁場にわたるアクションプランのフォローをさせて、事業の再構築ができるまで面倒を見るしかないのではないでしょうか。
政治的に中小企業の雪崩的な破たんを起こすことはできず、同時にゼロゼロ融資をいつまでも継続できない。また、リーマンショック以降の金融マニュアルによる思考停止状態からやっと脱却しようとしていた矢先のコロナショック。守りたい選挙民は多いのでしょうが、この際、限度のある予算と人材しかないのですから、明確な方針をだして、第三者やOBの先輩に協力を仰いで、これから2030年までの期間を経済・財政の再建をしていく必要がと思っています。