認定支援機関 行政書士たいぞう事務所の小堀大藏です。
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今日は、「台湾有事が起きれば日本国民は半年で餓死する…「輸入途絶の危機」を無視する農林水産省はあまりに無責任だ」(PRESIDENT Online 2023年10月31日)でキヤノングローバル戦略研究所研究主幹 山下一仁氏で主張する危機感と農林水産省への痛烈な批判を共有したいと思います。
山下 一仁氏(キヤノングローバル戦略研究所研究主幹は、まず、「日本の食料自給率は38%だ。このままでいいのだろうか」と問いかけています。
昨年6月からのロシアのウクライナ侵攻に加えて、中東では、ガザ地区のハマスが仕掛けたテロと誘拐によって、イスラエルは、この1カ月、パレスチナの人々を軍人も民間人も関係なく殺戮を続けています。「石油ショック」を知るものとしては、強い危機感を覚えます。
それどころか、山下氏は、「世界は第三次世界大戦に発展するのを食い止められるかの瀬戸際にある。アジアでも中国が攻撃的な態度を強めている。日本にとっても対岸の火事ではない」と警告されています。
具体的には、中国人民軍が台湾を制圧するためには、制空権を得ようとして、「沖縄だけでなく三沢までの在日米軍基地を叩く」との可能性に触れています。したがって、日本全国が戦争に巻き込まれ、周りが海に囲まれているシーレーンの防衛は難しく、輸入食品が入らず、輸入穀物も入らないと、「米主体の終戦直後の食生活に戻る」しかないのだとしています。
戦後、飢えに苦しんだ日本国民だが、そんなことは誰も、否、90歳以上の大先輩しか知らない。米と芋とカボチャの生活だ。しかし、「現在の米の生産量は670万トンしかない。今の供給量は、備蓄等も入れて800万トン程度しかない。輸入小麦の備蓄も2、3カ月分しかない。危機が起きて半年後には国民全員が餓死する」と指摘しています。
「1億2000万人に2合3勺の米を配給するためには、玄米で1600万トンの供給が必要となる」。しかし、減反政策によって「減反を始める前は350万ヘクタールあった水田は、今では235万ヘクタールしかない」のが実態だと説明する。世界が増産を続けている間に、日本は減産を続けている。それは、世界が平和であり続け、日本に好意的に輸出して呉れることが前提です。
かつて、「戦前農林省の減反案を潰したのは陸軍省だった。減反は安全保障と相容れない。我々の食料安全保障を脅かしているのは、輸入リスクではなく農政リスクである」とも指摘しています。
来年の通常国会に向けて、この5月には、食料。農業・農村政策審議会基本法検証部会から、「中間取りまとめ」がでているが、地政学的なリスク、「輸入途絶」については全く触れていない。「そもそも輸入途絶が起こった時、1億2500万人が餓死しないために、どれだけの食料が必要なのかも、「中間取りまとめ」には提示されていない」と、具体性のない議論を批判しています。
そもそも、減反を続けているのは、JA農協のためであると指摘しています。下記のグラフにもあるように、農協は、農業部門や農家の生活周辺事業で「出血赤字」をしたうえで、農家を囲い込み、周辺での民間事業者の進出を許さず、結果的に、農家は農協の言い値で買っていればよいと思わせている。
減反政策によって「高米価で維持してきたコストの高い零細な兼業農家が、農業を止めて組合員でなくなれば、この利益はなくなる。また、農家戸数が減少すれば農協は政治的にも基盤を失う。JA農協が減反による高米価に固執するのは、JA銀行事業の利益を守りたいからである。これが「国消国産」を唱えるJA農協の裏の顔だ。」とも指摘しています。
「JA農協の政治団体であるJA全中の会長が委員となっている審議会で、…国民のために必要な政策が議論されるはずがない。JA農協や農林水産省の言うがままだ。」と厳しく批判しています。
この減反政策の問題点は、米価を上げて喜ぶのは、農協だけなのだとした上で、「主食の米の価格を上げることは、消費税以上に逆進的だ。農林水産省は、JA農協の利益のために、食料危機の際に最も頼りになる米の生産を減らしてきた。国民は税金を払って自らの生命を危険にさらしているのである。」と農水省の責任を追及しています。
たしかに、この2年間のうちに、地政学的なリスクが高くなり続けており、さらに、お隣の中国の独裁化や経済の低迷などを受けて、戦火が発生しないと言えない厳しい環境になりつつあります。
官僚組織では、急激な変化に追いつけないのかもしれませんが、この前のパンデミックによる厚生労働省の動きやその後の対応についても、ある意味では「上の方は何も変わっていない」ように見えます。
農水省も中国の水産物の輸入制限を見て、被害者のようにふるまうのではなく、積極的にこの先のことを考えていただきたいものです。山下氏は、このレポートを以下のような文章で締めくくっています。
「シーレーンの途絶という事態が現実味を帯びてきている。食料が輸入できなくなって多くの国民が餓死してから農林水産省を責めても手遅れである。今の農林水産省はないほうがよい。というより国家のために有害である。国民は農林水産省を解体して自らの手に食料・農業政策を取り戻すべきだ。」
この厳しい指摘を、馬耳東風で受け流すのでしょうか。