あなたの事業が成功するよう祈って、このブログを書いています。
6月28日(日)は、東京で感染者が60人を超えました。東京都知事選挙は佳境を迎え、あと一週間が投票日です。政治家の誰もが首をすくめてこの1週間をやり過ごしたいのでしょうが、非常事態宣言が解除されて1ヶ月、「東京アラート」も解除されて2週間以上になりました。心配ですね。
今日のテーマは、「検査マニュアル廃止後の融資に関する検査・監督の考え方と進め方 今までの検査・監督と現状の課題」です。
バブル崩壊は、1990年初めに起こり、担保があればいくらでも貸すという不動産へ投資が集中されました。その結果、資産バブルが発生し、次に発生した資金の絞り込みで、資産価格の急落が起こり、借り手は大幅な債務超過におちいり債務返済能力が著しく低下しました。
したがって、金融機関の不良債権問題への対応が最優先課題であり、金融庁は、金融検査マニュアルを用いて、実質債務超過かどうかを重視した厳格な自己査定・償却・引当を金融機関に求めたのでした。
結果的に、検査マニュアル別表による基準によって、過去を重視した実務が定着し、顧客の足元の財務状況や担保・保証ばかりを重視した融資となりました。引当金については、足元の財務状況で債務者区分し、過去実績と担保・保証の有無を重視して引当金を積むことを金融庁は要求し、厳格に守るよう指導したわけです。
金融機関側も、示された計算式により、過去の実績を入力すれば、融資が可能かを判定でき、結果としてでてきた債務者区分ごとに引当金の計算もできることが当たり前になってきました。ところが、時間が経つにつれ、目先の基準をクリアすることが経営目標となり、検査・監査で指摘を受けないように対応することが実務となりました。
それは、政治が先行した中小企業円滑化法による実質無条件の融資の継続をすることで、引当金を積まなくても良いという金融機関にとっても微妙な対応を続けざるを得なくなってしまったのです。
しかし、バブル崩壊から30年、リーマンショックから12年が過ぎ、画一的な内部管理体制が、金融機関側に問題を起こし始めていました。
一つには、「担保・保証への過度な依存」「貸出先の事業への理解・目利き力の低下」といった融資の場面での金融機関職員の能力の低下です。
かつては、経営者と勝負して、その資金使途や返済財源、将来のキャッシュフローを議論し、互いの必要性を理解し合った信頼の上に成り立った融資がされていました。
また、今では、客先の事業を知らなくても、結果の決算書を指定フォーマットに入力して、得られた回答が融資の可否で決まります。その事業の将来性や、経営者の情熱や姿勢については、評価する定性評価は重要視されてきませんでした。
現在、経済は多様化し、かつグローバル化しています。また、金融機関間の金利競争があり、金融機関が貸出先から選ばれる時代に入りました。また、金融ニーズも、設備投資と運転資金などの使途だけでなく、事業承継、M&A、販路開拓、人材派遣など多くのニーズがあります。
また、金融機関側も、それらのニーズをしっかりとつかまえて、コンサルティング機能を発揮して対応し、結果的に将来のキャッシュフローを導き、融資の規模や返済の適切な設定などが可能となってきています。どの様にリスクテイクするのかを含めて、金融機関の健全性を維持するための手当をしていくことが求められています。