こんにちは
認定支援機関 行政書士たいぞう事務所 融資コンサルタントの小堀大藏です。
あなたの事業が成功するよう祈って、このブログを書いています。
今週は、コロナの新規感染者数に代わって毎日のようにガソリン価格の高騰が報道されています。今日は、「原油価格の推移と世界動向と世界経済」についてご紹介します。
昨日と同じ、JOGMEC(独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構)の『石油・天然ガス資源情報2022.06.20』の「 ロシアのウクライナへの事実上の侵攻実施を巡る石油供給への懸念等と米国金融当局による政策金利の大幅引き上げ等に挟まれる原油価格」を参考にしてご紹介します。
原油市場における主な注目点等を、以下のように整理しています。
- ロシアのウクライナに対する事実上の侵攻実施による「ロシア原油制裁」
- 2022 年末までに90%程度、…ロシアからの石油輸入が停止されます。
- ロシアは代替の供給先を開拓…、その量も増加しつつあるとされる。(中国やインド)。
- 西側諸国等とイランとの関係は複雑化(イラン核合意正常化に伴う米国の対イラン制裁緩和及びイランからの原油供給拡大)⇒時期がずれ込む
- リビア、イエメンの政治体制の混乱と原油生産の滞り
さらに、経済要因としては、以下の点が注目されます。
- 中国の新型コロナウイルス感染抑制のための「ゼロコロナ政策」の行方
- 米国の「5月の同国消費者物価指数(CPI)は前年同月比8.6%」上昇率拡大
- FOMC における、0.75%の政策金利引き上げ決定
- 米ドルが上昇するとともに原油相場に下方圧力が加わる場面が見られる可能性
- 米国主要企業等の 2022 年 4~6 月等の業績が発表。2022 年以降の業績見通し、修正等によっては米国株式相場が変動する結果、原油相場に影響を及ぼす
さて、確かにロシアの原油生産が前年実績を下回る予想はできていますが、それも1割程度の減産に留まりそうです。ロシアのGDPは原油輸出に連動していることから、原油価格の高止まりの継続と合わせると、結果的にロシアの交戦能力を減退させることはできないということになります。
そこで、「アメリカは、ロシア産の石油を購入し続ける消費国に対する米国等の制裁発動」を企図しており、その結果、「ロシア産石油購入が一層敬遠され…、ロシアからの石油供給が実質的に世界石油市場から排除され…、世界石油需給の引き締まり…、原油相場に上方圧力が加わると言った展開が想定される」としています。
しかしながら、「米国では 6 月 13 日時点の全米平均ガソリン小売価格が 1 ガロン当たり 5.107 ドルと、1993 年 4 月以降の EIAによる週間全米平均ガソリン小売価格統計上史上最高水準を更新し続けており、ロシア産原油等の世界市場からの排除は、原油価格及びガソリン小売価格の一層の高騰を招く可能性を高める」こともあります。
これが実施されないとすれば、「中国やインド等は、世界的に石油及び天然ガス(LNG)価格が高騰する中、割安感のある、ロシア産石油購入を促進し続けるものと見られ、いずれロシアからの石油供給はそれなりに回復していくとの見方」もあります。
もしかしたら、このことが、ガソリン車の市場からの放逐を早めることになるかも知れません。かつて排ガス規制によって、アメリカやヨーロッパの市場から大型車がなくなっていったように。
「OPECプラス産油国は無闇に減産措置の縮小を加速するような判断を回避する結果、6 月 30 日に開催される予定である OPEC プラス産油国閣僚級会合においても、慎重な原油生産方針を決定するといった展開となることもありうる」と予想しています。
他方、米国のバイデン大統領は 7 月 15~16 日にサウジアラビアを訪問する予定であると 6 月 14 日にバイデン政権が発表しており、同大統領のサウジ アラビアを含む中東諸国訪問の際の協議内容によっては、以降の OPEC プラス産油国間での減産措置縮 小を巡る協議内容が変化する結果、原油相場に圧力が加わるといった展開となることも否定できない。
また、天然ガスについても、「オランダTTF 天然ガス先物価格は6月17 日には同36.227 ドルの終値と約45%上昇している。このため、今後燃料転換に伴い石油需要が増加するとともに石油需給が、…原油価格に上方圧力を加えるといった展開となることも想定されうる。」としています。
たくさんの要因が輻輳しており、うまく説明できたとは思いませんが、世界の複雑さと、正義が簡単には通らない政治経済、そして軍事。もっと賢く人類を幸せにする方法はないものなのでしょうか。異常気象も相まって、不安な夏、冬が心配です。