
認定支援機関 行政書士たいぞう事務所の小堀大藏です。
あなたの事業が成功するために何か役に立つ情報をできるだけわかりやすくお伝えしようと考え、このブログを書いています。
先週の1月23日に衆参両院で、2023年の岸田総理施政方針演説が行われ、先週の国会は、その内容や各党の質問等で国会がスタートしました。
今週は、衆議院予算委員会で議論されている「施政方針演説」を知ることで、岸田総理がこの国のかじ取りをどのようにしようとしているのかを少し理解したいと思います。
本日は、「新しい資本主義」が主たるテーマであるのですが、予算委員会などでは、もっぱらこども・子育て、防衛政策の大転換、防衛予算と増税論議など、政治家が国民にアピールしやすい内容が多く、経済を立て直し、経済安全保障によりいろいろな制約がある中で、どのような経済成長を実現するのかがなk中明らかになりません。
確かに、総理総裁になられた時の所信表明では、「分配」があって、「成長」がある論調でしたが、2022年の春以降、「分配」重視から「成長」重視へと大きく方針転換がなされたように見られます。

「所得倍増」がある日、「資産所得倍増計画」となり、「貯蓄から投資へ」と市場にあまり関心のない国民に、NISAを大幅拡充するので、投資しましょうという政策の推進に方針が変わったのです。
安倍元首相から始まった経済界への「賃上げ」お願いが続いていますが、今年の経済界の様相は変わりつつあります。実際に物価が上がり、電気・ガスが上がり、あらゆるエネルギー、食品価格が上がり始めています。すでに、企業物価は急騰しています。この現実に経済界の大手は応えることとしたようです。
ただ、私には、今のまま、大手だけが賃上げを実現できても、中小では多くの企業が追随できないだろうと思います。今までの「社会主的な雇用慣習」がなくならない限り、経営者は、労働者を簡単には解雇できず、抱えることになるのであれば、賃金アップのリスクは甚大です。
もし、他の国のように、苦しければ首を切ることができれば、まず、やめていただき、それで身軽になって、事業回復してきたら、再度募集をして、人材を用意することへ舵を切るという順番です。
辞めた人材も、今までよりも良い賃金の賃金を目指して移動をすることでしょうし、待遇や給与が悪ければ、新たな人材を得ることができないのですから、賃金のベースはおのずからアップしていきます。本当に、世で言われるように「経済の潜在力、成長力の低迷に根差している」との主張に疑問も残ります。かつての中国の様に、賃金を無理やり上げることで底上げは可能だと思います。
話がそれました。「分配」重視から「成長」重視への政策転換は、この施政演説でも賃金が上がるような経済環境を作り出す「構造的賃上げ」策に重点が置かれたことは、その視点がお願い行脚から大きく変更されたと評価できます。
「人への投資」、特に「リスキリング」を通じた先端技術に対応できる労働者の再教育です。これによって労働生産性向上をさせようとする策です。労働生産性上昇率が高まれば、実質賃金上昇率も高まることになる。
経済産業省は2030年には、IT人材は最大で79万人不足すると予想しています。これから、子供たちの進路も理科系の進路へ進む人材を5割以上にすることを目指しているようです。しかし、教育制度改革には時間がかかり、間に合いそうもないことから、「社会人が学び直し」「女性の学びなおし「外国の優秀な人材の受け入れ」などを考えているのです。
野村総研の木内先生は、「リスキリングやリカレント教育などの施策は岸田政権以前の政権も掲げていたが、岸田政権は、人への投資と人材の流動化を並行して進めていくことを決めた点が、新機軸である(コラム「新しい資本主義で本格化する人への投資・リスキリングと労働市場流動化策」、2022年12月8日)。」と評価しています。
子会社での活躍や権限の委譲などの動きの速いことを苦手としてきた日本企業が変わらなくてはならないのだと思います。
また、大多数の中小企業、小規模事業者の事業承継等を見ても、まだまだの感があります。しかし、国が乗り出して、「リスキリングを通じて社員が新たな技能を習得」を社員に直接支援するなどして、ステップアップするような人材の流動化に火をつけるならば、早晩、経済全体の生産性向上効果が出てくると期待します。
そして、野党からも揶揄されながら、「成長戦略の一環でもある」異次元のこども・子育て、少子化対策がこの6月に骨格ができるとともに、来年度予算ではなく、今年度から早期にできることから始めてほしいものです。
そして、それらがあって「新しい資本主義」の本論である「デジタル田園都市国家構想」や「インバウンド政略」、「GX/DX戦略」、多くの成長戦略をまとめて、visionを発表してほしいものです。いわゆる「成長戦略のグランドデザイン」を期待しています。そして、共感をもって国民の目標につなげていきたいものです。