こんにちは、
融資コンサルタントの小堀大藏です。
あなたの独立起業が成功するよう祈って、このブログを書いています。
先週までは、日本公庫の融資課長に聞いてみたいという話題にしましたが、独立起業が成功するためには、地域の金融機関の応援が不可欠です。
そこで、神戸大学の家森信善先生が書かれた『地方創生のための地域金融機関の役割』(中央経済社2018.2.17)という本を参考にしてお伝えします。
この本は、2017年に実施されたアンケート結果を元に分析をされているのですが、大変参考になる点を断片的ですがお知らせします。(回答数 2,800件前後)
それでは今日の話題です。
「地域の金融機関の支店長の本音 融資判断する際の重視項目」です。
支店長が既存の取引先に融資をする際、どのような点を重視されるのか聞いています。
その回答のレベルは、「①非常に重視する、②重視する、③少しは重視する、④ほとんど考慮しない、⑤考慮しない」の5段階です。
ここでは、①と②の項目に注目してお伝えします。
融資判断をする際の一番の重視する項目は、「経営者の資質・やる気」です。非常に重視するが54.4%(重視するを加えると96.9%)とダントツです。
「財務の健全性や収益性」の項目は、37.6%(93.5%)、「プロジェクトの質の評価」の項目は、32.1%(89.6%)であり、しっかりと会社と向き合っているようです。
かつては、土地の担保や経営者等の保証が重視されてきたのですが、この結果を見る限り、審査の姿勢が明らかに変化しているように見受けられます。
さらに、「売上(現在の売上及び成長見込み)」「企業から提供される情報の質や開示の姿勢」と言った項目の非常に重視するとの回答をしたのが、それぞれ23.7%(85.1%)、23.4%(81.8%)となっています。
従前の担保至上主義ではなく、「事業性評価」を強く求める金融庁の意向が浸透しつつあるのかもしれません。
正直な話、以前は、「現在の返済の状況」に問題がない「従前の取引関係」があれば、「土地担保や経営者の個人保証」を取って、さらに「事業主の資産」にも根保証を付けて融資するのが常識でした。
中小企業、小規模事業者の決算書などをベースにした定量的な評価は、融資するために当然なことですが、その数値をあまり信頼しておらず、担保等に依存していたのが実態だと思われます。
これは、一方で、今まで政府の政策によって「延命」されてきた企業に、市場からの退場を求めるものであるとともに、他方では、本来の企業活動を行う企業には、金融機関が積極的に支援するという当たり前の姿になっていくのだと思います。
さあ、あなたの出番です。しっかりとした計画と準備をして、自分の事業計画をアピールしてください。あなたとあなたの事業に注目した「事業性評価」動き出しつつあります。新しい時代が始まります。
金融機関では、しばらくの間、担保主義の中で「目利き力」などの能力が失われていたことから、融資の失敗や損害も発生するのでしょうが、企業と一緒になって、地域社会を活性化する努力を期待しています。