こんにちは、
融資コンサルタントの小堀大藏です。
あなたの独立起業が成功するよう祈って、このブログを書いています。
先週までは、日本公庫の融資課長に聞きたい話でしたが、独立起業が成功させるためには、地域の金融機関の応援が不可欠です。
一昨日に続いて、神戸大学の家森信善先生が書かれた『地方創生のための地域金融機関の役割』(中央経済社2018.2.17)という本を参考にしてお伝えします。
それでは今日の話題です。
「地域の金融機関の支店長の本音 経営支援を行うかどうかを判断する」です。
起業して間もない皆様にとって、「経営支援」というと「何か支援してくれること」と勘違いされそうな言葉ですが、これは、実際に経営に問題が出て、融資の返済が遅れるなどその取引履歴に問題が生じたときに「金融支援」を行うかどうかと言う意味での文言です。
皆さんの営業が順調で、返済も滞りなく順調であった場合、金融機関内部での「債務者区分」は、「正常先」であり、「正常債権」と区分されています。
しかし、一旦、返済が3ヶ月延滞するか、融資条件の変更をするなどしたら、すぐに「要注意先」という区分となり、事業の経営改善の計画を要求されることになります。
もちろん、創業をしてあまり時間が経っていないときは赤字であることはよくあることです。しかし、借り入れをしたときの返済の条件を守れないということは、当然、当初の計画に「下振れ」が起きたことが原因でしょうから、その指摘を受けることになるでしょう。
金融機関も当初の事業計画書を評価し、「合理的」との判断で融資を実行されたわけですから、月次の進捗状況と、実績が当初の計画のどの範囲に留まっているかの報告が必要です。その成長性や返済能力を加味して、「正常先」のままの取り扱いにするかどうかが決まります。
取引先企業に対して「経営支援」を行うかどうかの判断項目ですが、以下のような項目を観点としてあげています。また、その回答比率は以下のとおりです。
- 経営者の意欲・能力 83.5%
- 再建への可能性 71.3%
- 地域経済への影響 53.7%
- メインバンクであるか否か 45.2%
- (金融機関)担当者の熱意 36.5%
特に、非常に重要とされたTOPの項目は、「経営者の意欲・能力」であり、先に紹介した「融資の判断の際の重視項目」では、「経営者の資質、やる気」一番であったと同様に、中小企業・小規模事業経営者の経営姿勢が問われています。
定性的な評価は難しい反面、きっちりと経営者と向かい合って、その姿勢、やる気、真剣度などを直接確認することで一歩前に進め、さらに経営改善計画書を作成することで、定量的な目標を持ち、詳細な対応策や改善項目をモニタリングすることになります。
本来ならば、公的な支援や指導もあるのでしょうが、自治体や商工会議所、商工会には、それを支援できる人的余裕もなく、人的な育成もされていないのが実態です。金融機関側も十分活用できていないこともあるようです。
今日は、少し先にあるかもしれない金融機関の「経営支援」について書きましたが、地域金融機関には、常日頃から担当者や融資担当役席、支店長などと面識があり、事業の報告などをすることをお勧めします。
どんな時も、金融機関は、最後は「人間的な匂いのする」ところのように思っています。したがって、知らない人の応援はしないものですし、一生懸命にもなれないものです。正直に、誠実に自分を出して、月次報告や中間報告、決算報告をして信頼関係を皆さんの側から築いてください。